週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

いぶし銀がパワーヒッターに変貌? 「巨人で覚醒期待の若手成長株」は

  0

明らかに強くなった打球


4月9日のDeNA戦で今季初本塁打を放った泉口


 巨人が4月12日の広島戦(マツダ広島)で、0対1と今季2度目の零封負け。先発で6回1失点と粘投した赤星優志を打線が援護できず、勝率5割に戻った。上昇気流に乗るためには、得点力を上げなければいけない。下位打線の核になる可能性を秘めた選手が、遊撃の定位置を狙う泉口友汰だ。

 明らかに打球が力強くなっている。今年は開幕を二軍で迎えたが、4月4日に一軍昇格。遊撃を守る門脇誠が打率.182、0本塁打と打撃の状態が上がってこないため、チャンスが巡ってきた。9日の巨人戦(横浜)で今季初の先発出場すると、2点リードの7回に浜地真澄のカットボールを振り抜いた打球は右翼ポール際へ。昨年6月11日の楽天戦(楽天モバイル)以来302日ぶりとなるプロ2号が、開幕から4打席目で飛び出した。9回も中前打を放ってマルチ安打を記録。その後も3試合連続安打を放ち、遊撃の守備もそつなくこなしている。

 守備能力を比較すると門脇が上のため、泉口は打撃でアピールして存在価値を証明する必要がある。昨年は66試合出場で打率.201、1本塁打、9打点をマーク。選球眼の良さを見せたが、打力で物足りなさが残った。大阪桐蔭高、青学大、NTT西日本とアマチュア時代に強豪チームでプレーし、自己分析する能力は高い。パンチ力があることから、打席での粘り強さに加えて豪快なスイングに磨きをかけている。今年の春季キャンプで覚醒の兆しはあった。初実戦となった2月11日の紅白戦で、2回に泉圭輔の直球を右翼ポール際に運ぶ「チーム1号」。さらに、同点の4回1死三塁では、右翼フェンス際へ大きな犠飛を放った。公式戦でもパワーヒッターを彷彿とさせる打球で首脳陣にアピールしている。

打力アップで飛躍した阪神遊撃手


 打力が向上したことで大きく飛躍した遊撃として、成功モデルに挙げられる選手が阪神木浪聖也だ。一軍に定着できず伸び悩んでいた時期が続いていたが、岡田彰布監督が就任初年度の23年に野球人生の転機を迎える。中野拓夢を遊撃から二塁にコンバートしたことで、遊撃の定位置を奪取した。守備能力の高さには定評があったが、打撃でも127試合出場で打率.267、1本塁打、41打点をマーク。得点圏打率.310と勝負強さを発揮して「恐怖の8番打者」と称され、リーグ優勝と38年ぶりの本位置に大きく貢献した。

 木浪は打席での心構えについて、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。

「一番の近本(近本光司)や二番の中野(中野拓夢)に『つなげる』という意識でしか、今のところ考えていないんですよね。そして四番の悠輔(大山悠輔)へと行けばすごくいいです。つまり、僕がつなげさえすれば、すごく頼もしい上位打線がいます」

「ボールをじっくり見ていく、という表現をするときがありますが、じっくり見ると見過ぎるので、四球を取るというよりは、まず打ちにいくことを大前提に考えています。エラーでも何でも塁に出られたら、つながっていく打線だと思っていますので、そこは信用しています。常に『次につなぐ』しか考えてないですね。例えばサヨナラの場面など『ここは自分が』と思いますけどそれ以外は自我はまったくないです。『つなぐ、つなぐ』しかない」

攻守で替えの利かない存在に


 木浪は青森山田高、亜大、Hondaとアマチュアの名門を渡り歩き、内野なら全ポジションを守るユーテリティー性で出場機会を増やそうとした時期があった。すべての経験が、遊撃の定位置をつかむプロセスで役に立ったはずだ。キャリアやプレースタイルが重なる泉口は参考にするべき点があるだろう。

 巨人は開幕して12試合で4得点以上奪ったのが4試合と少ない。強固な守備力は重要だが、打線がつながることが大きなポイントになる。不動の遊撃だった坂本勇人が三塁にコンバートされ、遊撃の定位置が固定されていないチーム状況は泉口にとってチャンスと言える。攻守で替えの利かない存在になれるか。

写真=BBM

この記事はいかがでしたか?

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント 0

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング