週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】東京六大学で「ビデオ検証」 東大対早大2回戦で早くも東大が権利行使

  0

4月10日に開かれた連理理事会で承認


5回表、東大・大久保監督は早大の攻撃時、二盗の場面でセーフの判定に対して、ビデオ検証を行使した[写真=田中慎一郎]


【4月14日】東京六大学リーグ戦
早大13-3東大(早大2勝)

 東京六大学リーグ戦は今春から「ビデオ検証」が導入された。開幕週の2日目、東大-早大2回戦で初めて行われた。

 5回表無死一、三塁から一塁走者の早大・小澤周平(4年・健大高崎高)が二盗を試みると「セーフ」の判定。一塁ベンチの東大・大久保裕監督が球審の下へと歩み、権利行使を伝えた。当該審判員である二塁塁審を除いた3人で、三塁側ベンチ横に設置してあるビデオルームで検証。2分以内となっており、最終的には「アウト」に判定が変更された。

ビジョンには「ビデオ検証」が表示。プロ野球のように映像がリプレーされることはない[写真=田中慎一郎]


 行使できるのは9イニングで1回、成功すれば2回目以降も可能となっている。この試合、再び、その機会は訪れた。7回表一死三塁から小澤が二ゴロ。一塁ベースカバーに入った投手と打者走者が、一塁到達で際どいタイミングとなり「セーフ」の判定。東大・大久保監督はビデオ判定を要求するも、このジャッジは覆らず、権利を失う形となった。

「ビデオ検証」は4月10日に開かれた連理理事会で承認。東大・大久保監督は「時代の流れと言いますか、カメラの性能もだんだん良くなっているんでしょうから、やれるのであれば、やったほうがいいと思います。試合を左右するようなワンプレーがあれば使っていきたいなと思っています」と語っていた。

 ビデオ検証の対象は本塁打、エンタイトル、フォースプレー、タッチプレー、フライのキャッチ・ノーキャッチ、ファウル・フェア、走者の追い越し、塁の空過、死球、危険なプレー。すでに導入されているNPBと同様に投球判定、ハーフスイング、ボーク、打撃妨害、守備妨害は対象外となっている。

7回表、東大・大久保監督はセーフの判定に対して2度目の行使も判定は覆らず、これで権利を失った[写真=田中慎一郎]


 学生野球という背景もあり、監督のみが球審に「ビデオ検証」を要求することができる。選手が監督に「ビデオ検証」を要求することもできない。プロ野球のように、場内のスクリーンに映像は流れない。あくまでも、ベンチで指揮する監督の判断により行使する。

 ここで、監督によって見解が分かれるようだ。この日の東大のように、明確にさせたいケース。一方であくまでも審判員の最終ジャッジをリスペクトしており、行使しないケース。また、最も身近でプレーしている選手が要求できないのであれば、角度的に判断が難しいベンチの監督が要求するのは難しく、また、失礼にもあたるという考えである。

神宮球場では、三塁ベンチ横のビデオルームで検証が行われる[写真=田中慎一郎]


 ビデオ検証導入前から大学野球では原則、選手が判定に対して「抗議」することはなかった。微妙な判定があった場合は監督が審判員に説明を求めてきた。また、高校野球では『高校野球特別規則』によれば「審判委員に対して規則適用上の疑義を申し出る場合は、主将、伝令または当該選手に限る」と定められており、監督が審判員に対して抗議をすることは認められていない。

 東京六大学野球連盟・内藤雅之事務局長はビデオ検証について理事会後にこう語っていた。

「高校野球、大学野球とも(全国大会で導入するかは)検討中です。東京六大学は100年を迎えましたし、これまでも学生野球の見本になりたいと思って頑張ってやっていますので、導入して、大学選手権や高校の大会や他のリーグの参考になっていただければなと思っています」

 今後、春夏の甲子園大会や6月の全日本大学選手権、11月の明治神宮大会で採用された場合、運用法は東京六大学がモデルケースになるのか。議論が必要となるかもしれない。

この記事はいかがでしたか?

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント 0

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング