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彗星のごとく現れた若武者…大化け可能性秘めた巨人の「鈴木誠也2世」は

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イースタンで猛アピール


4年目に支配下昇格を果たした笹原


 凡打に倒れたが、大きな可能性を抱かせる一打だった。巨人が5対0で完封勝利を飾った4月16日のDeNA戦(東京ドーム)。プロ4年目の笹原操希が「八番・左翼」でプロ初のスタメン出場を飾った。3打数無安打に終わったが、サイ・ヤング賞右腕のトレバー・バウアーから2回に150キロ直球を左翼フェンスぎりぎりまで飛ばした。快速球に力負けしない力強いスイングに球場がどよめいた。

 上田西高で1年春から四番に座り、3年春のセンバツに出場。育成ドラフト4位で入団後は広角に打ち分けるバットコントロールの良さに磨きをかけた。昨年はイースタン・リーグで48試合出場して打率.288をマーク。オフには2024アジアウィンターベースボールリーグに参加し、NPB所属選手で打率.340、17安打といずれもトップの結果を残した。今年も一軍定着を狙う秋広優人浅野翔吾が打撃不振でイースタンでも精彩を欠く中、笹川は4月13日までにイースタンで14試合に出場して打率.375、5盗塁と猛アピール。14日に支配下登録されると、16日に一軍昇格した。

 他球団の首脳陣は「きっちり捉えるミート能力だけでなく、長打を飛ばせる。プレースタイルが鈴木誠也(カブス)に近い。大化けする可能性を秘めた選手です」と高い評価を口にしていた。

 今季の巨人は主力にアクシデントが相次いでいる、丸佳浩が右大腿二頭筋の筋損傷で離脱し、開幕から13試合で打率.309、3本塁打、8打点と打撃好調だったトレイ・キャベッジは4月12日の広島戦(マツダ広島)で、左手親指を負傷して戦列を離れた。エリエ・ヘルナンデスも打撃の状態が上がらず、16日のDeNA戦(東京ドーム)で今季初のスタメン落ち。レギュラー格の3人がスタメンに名を連ねない緊急事態だが、若手にとってはレギュラー奪取のチャンスと言える、

育成から新人王の外野手


 巨人の外野手で育成枠から支配下昇格して活躍した先駆者が、松本哲也(現巨人一軍外野守備兼走塁コーチ)だ。育成ドラフト3位で入団すると、新人の2007年春季キャンプで支配下昇格。09年に飛躍の時を迎える。129試合出場で打率.293、盗塁16、チーム最多の27犠打で新人王を受賞した。週刊ベースボールのインタビューで、以下のように振り返っている。

2009年には新人王を獲得した松本


「育成から上がったのに、丸2年間、結果を残せなかったので、今年ダメだったら最後だなという覚悟で挑んだシーズンでした。この春、WBC(※第2回。原辰徳監督が巨人監督と兼任)があって、亀井(亀井善行)さんが代表に選ばれたこともあり、代表で不在の約1カ月半の間、外野の1枠が空くわけで、チャンスでもあるなと。1年目の春のような、ガツガツした気持ちでキャンプを迎えたことも大きかったと思います」

「無我夢中でやっていたら、いつの間にか優勝していて、いつの間にか日本一になっていました。それもまたとんとん拍子というか、自分は本当に恵まれていますよね。この年はリーグ優勝後と日本一になったあとの2回、ビール掛けをやったのですが、こんなに面白いことがあったのかと(笑)。そして銀座パレード。何万人というファンの方が集まってくれて、気持ちいいって言葉だけでは表せない気分で、これを経験したらもう1回やりたい、って頑張れますよね」

 10年以降は故障も影響して外野の定位置をつかみきれなかったが、攻守にグラウンドで躍動する168センチの小兵は巨人ファンから愛された。

 笹原も一軍で与えられたチャンスをつかめば、サクセスストーリーが切り開ける。外野陣が手薄な巨人で救世主になれるか。

写真=BBM

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