ドラフト候補のマネをして

城西大・勝田は、最高のつなぎ役である[写真=大平明]
【4月19日】首都大学一部リーグ戦
東海大7-5城西大(1勝1敗)
首都大学リーグ第3週1日目。前週、雨で順延となった3試合が行われた。第2試合に登場した城西大は東海大との2回戦に5対7で敗れ1勝1敗。今季初の勝ち点はお預けとなったが、この試合で2安打1打点と活躍したのが勝田心(4年・尾道高)だ。
二番・二塁で先発出場した勝田は、3回裏の第2打席、ライトへクリーンヒットを放って追加点の口火を切ると、6回裏の第4打席はドラフト候補の一番・
松川玲央(4年・関西高)が申告敬遠され一死一、二塁。チャンスの場面で打席に立つと「前の打者が申告敬遠されたのは人生で初めてだったので技術よりも気持ちで打ちました」とセンター前へ運ぶタイムリーを放っている。
村上文敏監督が「もともとは守備の人。非力で体重も軽かったのですがバッティングを頑張ってやってきて、やっと人並みくらいにはなりました」と話すように、打撃に課題があったという。しかし、昨秋は打率.270をマーク。
「松川に付きっきりになってもらって、一から全部、教えてもらいました。松川のマネをしていると言ってもいいくらいで、技術だけでなく打席での気持ちの持ち方など精神面まで教わりました」
常に心掛けているのは「1フォアボール、1犠打、1安打」だ。
「すべての試合で1フォアボール、1犠打、1安打ができれば打率が残せますし、出塁率も上がって印象も良くなりますから。そして、昨秋は先輩をはじめ、チームメートがチャンスを作ってくれて、たまたま自分がポテンヒットを打つという感じで良い成績を残すことができました」
昨秋の7犠打はリーグトップタイの数字だった。「バントは苦手なので『当たれ』『転がれ』と思いながら、根性で決めています」。さらに、セカンドの守備では昨年の春と秋の2シーズンでわずか3失策(24試合)。「足を動かすことを意識しています。特に土のグラウンドだとイレギュラーもあるので、少ないバウンド数で捕りにいくようにしています」。
こうして結果を残した勝田は昨秋、二塁手としてベストナインを獲得。ただ、「ベストナインを獲れたのは、チームのみんなのおかげです」と感謝の言葉を忘れない。
勝利を手繰り寄せる働き
冬場もバッティングに力を入れてきた。
「器用ではないのでとにかく量を振ることに時間を費やして、体に染み込ませてきました。全体練習が終わった後、満足できるまで3~4時間もバットを振っていたこともあります」
フォームも修正した。「これまではヒットを打ちたい気持ちが強すぎて体がスウェーしてしまい、走り打ちのような形になっていました。そこで、今は下半身の動きに気を付けてしっかりと軸足で回転し、打ってから走るようにしています」。プロ選手の動画も見て、研究もしてきた。「
西川龍馬選手(
オリックス)のようにバットを寝かせて打っている選手を見てイメージを作ってきました」。今季は4試合通算で(タイブレークの成績も含めると)打率.417(12打数5安打)。好調な出だしとなっているのは努力の賜物と言って間違いない。
今季からは二番となり、すでに6盗塁を決めている松川をアシストしながら中軸へとつなぐ役割を担う。村上監督は「待って、待ってだと勝田もしんどいので『打っていい』と伝えました」と話しているが、この試合の松川の2盗塁は共に勝田の打席。今後も打席で難しい判断を迫られることになるが、勝田の働きがチームの白星を手繰り寄せることになる。
「今季は主将の松川を中心に、リーグ優勝して神宮球場での全国大会に出場することを目指してきたので、その目標を達成したいです。個人としては首位打者と2季連続のベストナインを狙っていきたいです」
卒業後の進路は「野球人生が続く限り、レベルが高いところでやりたい」と社会人野球へ進むことを希望。チームと自身の願いを叶えるためにも、勝田は全力プレーを続ける。
文=大平明