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【大学野球】明大・戸塚俊美監督が初采配で初勝利 今年も伝統の「粘りの明治」を前面に戦う

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「選手に感謝したい」


今春から明大を率いる戸塚監督は、初采配の東大1回戦で勝利へと導き、ウイニングボールを手にした[写真=矢野寿明]


【4月19日】東京六大学リーグ戦
明大2-0東大(明大1勝)

 今春から母校・明大を指揮する戸塚俊美監督が、リーグ戦初采配の東大1回戦で先勝。2020年から田中武宏前監督の下で助監督を務め、この日は指揮官としての初勝利で、ウイニングボールを学生コーチから受け取った。

「ホッとしました。選手に感謝したい」

 初の開幕投手を任された左腕・毛利海大(4年・福岡大大濠高)が6回1安打無失点。許した走者は2人(死球、安打)も2つの二盗阻止により、結果的に打者18人で仕留めた。

「戸塚監督の初のリーグ戦。初勝利をプレゼントできたらいいと思っていました。オープン戦から先発投手は長いイニングを投げないといけないと言われていて、今日は6回でしたが、もっと伸ばしていきたいです」

 戸塚監督は「キャンプからケガなく、球数も意識しながら、ウチの流れの中での先発ローテを守ってきた。初戦を託しました」と、全幅の信頼の下でマウンドへと送り出した。

左腕・毛利は6回1安打無失点。相手打者にスキを与えなかった[写真=矢野寿明]


 明大は毛利、高須大雅(静岡高)、大川慈英(常総学院高)、菱川一輝(花巻東高)と4人の4年生投手がベンチ入り。5月の復帰を目指している左腕・久野悠斗(報徳学園高)を含め、5人が「プロ志望」を表明している。

「大川、菱川、高須と4年生中心にやっていく。自分は球が速くないので、試合を作って、(救援の)菱川、大川につなげていければいい」。7回はリーグ戦初登板の左腕・大室亮満(2年・高松商高)が1回無失点、8回からは大川が最速152キロの真っすぐで圧倒した。

「大事なのはバッテリーを中心とした守り」


リーグ戦初出場の田上が先制打。中心選手として活躍していきそうだ[写真=矢野寿明]


 打線では新戦力が躍動。3回表に二番・田上夏衣(2年・広陵高)が先制打を放った。リーグ戦初出場で初先発、初安打、初打点と初もの尽くしとなった。「率直に1本出て良かった。このために準備してきました。スタメンを勝ち取ろうと、この冬、取り組んできました」。昨秋まで在籍した主将・宗山塁(楽天)が実力を認めていた、高校の後輩である。

「(宗山さんからは)いつもどおり。平常心で頑張れ!! と言われていました」

 第1打席は東大の先発・渡辺向輝(4年・海城高)のボールに差し込まれ遊ゴロ。第2打席ではきっちり修正し、まるで教科書のようなセンター返しだった。

 戸塚監督はかつて審判員として東京六大学でジャッジし、春・夏の甲子園大会の運営にも携わった。明大時代は「御大」こと島岡吉郎元監督から薫陶を受けた。伝統の「人間力野球」を継承しながら、理想の指導者像を語る。

「最少失点に抑え、少ないチャンスをものにしていくチームを作っていける監督。大事なのは、バッテリーを中心とした守りです」

 この日は無失策。最もうれしかったのは正捕手・小島大河(4年・東海大相模高)の成長である。先述のように、2つの盗塁を阻止し「2つ刺したのは大きかった」と、戸塚監督は表情を崩した。主将・木本圭一(4年・桐蔭学園高)を軸に、結束力は例年以上。伝統の「粘りの明治」を今年も前面に出していく。

文=岡本朋祐

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