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【首都大学リポート】今秋ドラフトを目指し奮闘する帝京大・彦坂藍斗 「過去の首位打者は忘れ打撃を見つめ直す」

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1年春からレギュラー抜擢


帝京大・彦坂は大卒でのプロ入りを目指している[写真=大平明]


【4月20日】首都大学一部リーグ戦
日体大6-1帝京大(日体大2勝1敗)

 首都大学リーグ第3週2日目。帝京大は1勝1敗のタイとなっていた日体大と対戦するも1対6で敗戦。勝ち点を挙げることはできなかったが、今秋のドラフトを目指して彦坂藍斗(4年・享栄高)が奮闘している。

 彦坂は中学時代に愛知豊橋ボーイズで日本一。享栄高では3年春に東海大会で準優勝。甲子園に出場することはできなかったが帝京大・唐澤良一監督は「バッティングに光るものがありました」と評価。彦坂は「進学先は迷ったのですが、唐澤監督の熱意に押されて帝京大を選びました」と振り返る。

 帝京大では1年春からレギュラーに抜擢されたが、チームは二部へ降格。それでも2年秋はリーグトップ(二部)の3本塁打を放ち一部昇格に貢献。3年春は4季ぶりとなる一部でのプレーだったが打率.410をマークして首位打者を獲得し、リーグ優勝の原動力となった。

「広角に長打が打てるのが自分の強み。1年生の頃から、逆方向のレフトへ打つ返すことを強く意識しながら練習してきましたが、その成果が3年生になって表れてきました」

 しかし、昨秋は打率が1割台と低迷。失意のシーズンを終え、彦坂は大きな決断をした。

「リーグ戦が終わった後、なかなかモチベーションが上がっていきませんでした。そこで、『プロへ行きたい』という気持ちがあったので、唐澤監督に自分の思いを伝えに行きました」

 一方、唐澤監督は、社会人を経験してからプロへ行ったほうが良いという考えを持っており、ここ数年のNPB入りした帝京大OBを見ても西村天裕(ロッテ)はNTT東日本、塩見泰隆(ヤクルト)はJX-ENEOS(現:ENEOS)。廣畑敦也(ロッテ)は三菱自動車倉敷オーシャンズ、大津亮介(ソフトバンク)は日本製鉄鹿島を経由している。

 彦坂本人も「止められると思っていました」というが、指揮官は背中を押す判断をした。

「彦坂は一番、バットを振ってきている選手。本当に24時間、野球のことしか考えていないんじゃないかというくらい。覚悟を持って、それだけの練習をしていますし、ドラフト下位の指名でもチャレンジしたいと話しているので、彼の思いを後押ししたいと考えています」

特別な番号を背負って


 彦坂の背番号は「1」。唐澤監督によると「背番号1を着けられるのは、野手で一番だと思える選手だけ」とのことで、帝京大では特別な番号を背負っている。

 この冬はとにかく数を打ってきた。「一日おきに800本。強く振ることを意識して、ティーバッティングなどをやってきました」。今春のリーグ戦ではなかなか調子が上がってこなかったが、第2週の日体大1回戦でホームラン。「練習から思ったように状態が上がってきていないのですが、この試合ではヒットも一本出ていたので割り切っていきました。芯に当たれば長打になるので、ミートポイントの精度を上げていきたい」。

 今季からは一番打者を務めており「最初は慣れていない感覚がありましたが、昨年、一番だった島野圭太さん(鷺宮製作所)にアドバイスをしてもらい、一番でも自分のバッティングをすることを心掛けて打席に立つようにしています」。この日の日体大3回戦では「一番打者が初回に出塁できたら勢いに乗ることができる」と第1打席でセンター前ヒット。3回表の第2打席は、1死二、三塁のチャンスで打席に入ると「先制点が欲しい場面だったので、最低限の仕事ができました」とセンターへ犠牲フライを放っている。

 今後に向けて「彦坂は段階を踏んで成長していますし、平均以上に実力は持っている。あとは、他者よりも突き抜けるものが出てくれば」と期待を口にする唐澤監督。彦坂は「唐澤監督にはメンタル面をよく指導していただき、打てなかった時にどうするのかを考えるようになりました。1年生の頃からずっと使ってもらっているので結果で応えたい」とバットでの恩返しを誓う。

 現時点では進路をプロ一本に絞っている彦坂。「今、結果を出さないとプロは見えてこない。大事なのは今なので過去の首位打者のことは忘れ、もう一度、自分のバッティングを見詰めなおして準備していきたい」。チームも2カードを終えて、いまだに勝ち点ゼロと苦しい立場にあるが「もう勝ち点は落とせないので、次週からは全勝してリーグ戦を終えたいです」と彦坂。これからの巻き返しに注目だ。

文=大平明

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