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岡本和真と「巨人の顔」に 他球団が「球界屈指の守備能力」と絶賛の選手は

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替えの利かない存在


攻守でチームをけん引する吉川


 巨人の野手陣で岡本和真と共に替えの利かない存在が、吉川尚輝だ。

 今年は開幕から「三番・二塁」に固定され、打率.337をマーク。21試合出場で無安打に終わったのが3試合のみとコンスタントに打ち続けている。150キロを超える剛速球を投げ込む投手が増えて苦戦する打者が多い中、直球に強いことが大きな魅力だ。4月15日のDeNA戦(東京ドーム)では、初回にアンドレ・ジャクソンの149キロ直球を振り抜いて遊撃内野安打を放つと、1点リードの3回一死一、二塁の好機で再びジャクソンの153キロの直球を右前にはじき返した。得点圏打率.370と勝負強さも光る。22日の中日戦(東京ドーム)では6回二死満塁の好機で左中間を破る走者一掃の適時二塁打を放つなど、マルチ安打3打点の活躍で勝利に貢献した。

 守備での貢献度も非常に高い。20日のヤクルト戦(神宮)では、2回にランバートが放った中前に抜けようかという打球をスライディングキャッチ。難しい体勢から反転してノーバウンド送球でアウトにした。

二塁守備へのこだわり


 二塁の守備能力の高さは以前から定評があった。俊足を生かした広い守備範囲、球際の強さ、捕球してから送球までの速さ、肩の強さ、送球の正確性とすべてが高水準で、他球団の選手から「二塁の守備は球界トップクラス」と一目置かれていた。プロ8年目で自身初の全143試合に出場した昨年、二塁手部門で初のゴールデン・グラブ賞を受賞。吉川は今年3月に週刊ベースボールのインタビューで、守備のこだわりについて以下のように語っている。

「(最も意識していることは)究極的には一歩目、ですかね。セカンドは、送球については余裕があるポジションだと思うので、まずは捕ること。そのためには一歩目が大事になります。守備範囲というのは僕の一番の強みだと思っていますし、こだわっている部分でもあります。バッターの傾向や打ち方も含めたいろいろなデータを頭に入れながら予測を立てて、その中で自分の直感も大事にしながら、といった準備が一歩目につながっていく。もちろんピッチャーの投げる球種やコースを見てポジショニングを変えることもありますし、カウントによっても変わってきますね」

「直感と言ったのは、事前のイメージです。『このバッターでこのカウントなら、こういう打球が来そうだな』『こんな打球が飛んできたら、こうやって捕ろう』というイメージを持ちながらやっていたほうが、一歩目の反応がしやすくなりますし、実際にイメージどおりの打球が来たときにギリギリで追いついて何とか捕れた、ということもあったりしたので。そうしたイメージはすごく大事にしていますし、やっぱりイメージを含めた準備がないと、難しいですね」

侍ジャパンの正二塁手へ


 経験を積み重ね、イメージが研ぎ澄まされている部分があるだろう。侍ジャパンの二塁は山田哲人(ヤクルト)、菊池涼介(広島)、浅村栄斗(楽天)ら球界を代表する選手たちが守り、以前は国際大会で定位置争いが最もハイレベルなポジションだった。だが、近年は人選に苦悩の跡が見える。昨年11月に開催された国際舞台では本職が遊撃、広島では三塁を守る小園海斗を起用。本職が二塁の牧秀悟(DeNA)は一塁に回った。

 国際舞台では1点が大きな重みを持つ。いかに1点を防ぐかという観点に立つと、守備能力が高い吉川は有力候補になるだろう。侍ジャパンのメンバーに選出されたプレミア12は左第四肋骨肋軟骨移行部損傷のためで離脱したが、シーズンで活躍し続ければ来年開催予定のWBCで二塁を守る可能性が十分にある。

 巨人の二塁は仁志敏久(現西武野手チーフ兼打撃コーチ)が90年代後半から00年代中盤まで絶対的レギュラーとして活躍後、なかなか固定できなかった。吉川は入団以来度重なる故障で一軍に定着できず、初の規定打席に到達したのがプロ4年目の20年だった。その後は順調にステップアップしている。全盛期はこれからだ。

写真=BBM

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