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【首都大学リポート】首位・筑波大をけん引する俊足巧打のリードオフマン・川上拓巳

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確実性を上げる練習を重ねて


筑波大・川上は打線をけん引している[写真=大平明]


【4月26日】首都大学一部リーグ戦
東海大4-2筑波大(東海大1勝)

 首都大学リーグ第4週1日目。開幕4連勝で首位に立つ筑波大は勝ち点2で並ぶ東海大と対戦。しかし、この日の1回戦は2対4で惜敗。今季、初黒星を喫してしまったが、そのなかで2安打と気を吐いたのが川上拓巳(4年・旭川実高)だ。

旭川実高から一浪して筑波大に入学した。

「高校の監督が筑波大の出身でしたし、国立大学で実力があるチームというのが志望した一番の理由でした。高校時代は勉強ができる方ではなかったので一浪したのですが、浪人時代は朝6時の電車に乗って塾へ行き、夜10時の電車で帰ってくるまで勉強は一日に8~10時間。その合間に午前中はジムへ行ったり、たまにグラウンドで練習したりしていました。筑波大の野球部はみんなが考えて野球をやっていて、チーム力で勝つチームだと感じています」

 リーグ戦は2年秋にデビュー。昨春は初めて規定打席に到達し、リーグ1位タイの16安打。打率.364はリーグ2位の好成績でベストナイン(指名打者部門)を受賞した。指導にあたる川村卓監督は「ボールを最後まで見極めて打つことができる」とそのバッティング技術を評価している。そして、このオフシーズンは確実性を上げる練習をしてきた。

「自分はパワーがないので、ミート力を上げてきました。インコースのボールを引っ掛けたくなかったので、意識してきたのは体の前でバットを使うこと。トスバッティングや遅いボールを投げてもらい、ショートの頭へライナーを打つイメージで振り込んできました」

スピードも武器の一つ


 今シーズンも滑り出しは好調。本人は「自分は欲を出すと良くないので、欲張らずにできることをやるだけ。自分の身の丈に合ったバッティングをしています」と話しているが、第3週を終えた時点で19打数7安打(4試合)を記録。6得点はリーグ1位の数字となっている。この日は東海大のエース・米田天翼(3年・市和歌山高)に対し、初回は148キロの真っすぐを叩いてライトへ。第2打席は変化球をレフトへ運び、2安打を放った。「インコースを使ってくることは分かっていたので1打席目は対応できました。2打席目は追い込まれてからの変化球を引き付けて打つことができたと思います」。

 また、「良いつなぎ役ですが、チャンスメークもできる選手」(川村監督)と、この試合ではこれまでの二番から一番に打順を上げた。川上は「バントや小技が得意なので二番のほうが好きなんですが、出塁することを一番に考えていました」と起用に応え、打率.391と成績を上げている。

 さらに、スピードも武器の一つ。チームメートには昨冬、侍ジャパン大学代表・強化合宿の50m走でトップのタイムを出した岡城快生(4年・岡山一宮高)が在籍しているが、塁間なら岡城と同等以上で「30m走なら、だいたい自分が勝つか同じタイムです」とのこと。昨年は春と秋の通算で9盗塁を決めている。守備でも川上はレフト、岡城はセンターと左中間でコンビを組む。岡城も好守の選手ではあるが「左中間の打球は川上が捕りにきてくれる」と信頼を置いているほど落下地点に入るのがはやい。川上も「岡城は良いライバルだと思っています」と互いに切磋琢磨しているようだ。

 今季の目標にしていた全勝優勝はならなかったが「チームの優勝が第一。そのなかで、謙虚にできることを積み重ねていきたい。個人としてはベストナインと首位打者を目標にして頑張ります」と川上。卒業後は社会人野球でのプレーを希望しているが、俊足巧打のリードオフマンとして最後まで筑波大を引っ張っていく。

文=大平明

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