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巨人首位快走の裏に復活劇 救援陣支える「ドラフト7位入団の鉄腕」は

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11試合連続無失点をマーク


リリーフとしてチームに貢献している中川


 粘り強い戦いで白星を重ね、首位を走る巨人。強さの要因となっているのが強力な救援陣だ。石川達也船迫大雅カイル・ケラー高梨雄平田中瑛斗横川凱と個性あふれる能力の高いリリーバーがそろい、大勢ライデル・マルティネスの必勝リレーにつなげる。頼もしい左腕も帰ってきた。4月6日に一軍昇格後、11試合連続無失点で5ホールドと好投を続ける中川皓太だ。

 4月30日の広島戦(東京ドーム)では、2点リードの8回に登板。田村俊介矢野雅哉小園海斗と一番から始まる上位の左打者をテンポ良くわずか8球で三者凡退に仕留めた。直球は145キロ前後と決して速くないがキレを取り戻し、空振りを奪う。スライダー、シュートと横の変化で勝負していたが、春季キャンプ中に習得したフォークが絶大な威力を発揮している。縦の変化がわったことで配球のパターンが増え、打者は狙い球を絞りづらくなった。今季は10回1/3を投げて15奪三振。プロ10年目でさらなる進化を見せている。

育成契約からはい上がって


 ドラフト7位で入団し、ブルペンの屋台骨を支えてきた。2019年に自己最多の67試合登板で4勝3敗16セーブ17ホールド、防御率2.37で5年ぶりのリーグ優勝に貢献。21年は58試合登板で4勝3敗1セーブ25ホールド、防御率2.47と鉄腕ぶりを発揮した。だが、22年は開幕直前に腰痛を発症し、一軍登板なしに終わる。中川は週刊ベースボールのインタビューで当時を振り返っている。

「突然でした。これまでに経験したことのない痛みで。椎間板ヘルニアだったんですけど、痛くて野球どころではない。普通に生活することもままならないほどで。時間が経って、良くなってきたかなと思っても続かない。一進一退で、いい悪いを繰り返して。手術をするかしないかでは相当、悩みました。結果的にしなかったんですけど、回復するまでに時間が掛かってしまい、つらい部分はありましたね。それでも、『もう投げられないんじゃないか』ということが頭をよぎることはなかった。いろいろな治療を受けさせてもらったり、僕の体のために力を貸してくれる人がたくさんいた。だからなのか、先が見えない中でも『いつか良くなるだろう』と思い続けることができた。この先どうなってしまうんだろうという不安はありませんでした。支えてくれた人たちには、感謝しかありません」

 翌23年は育成契約からシーズン途中に支配下昇格し、44試合登板で1勝4敗14セーブ17ホールド、防御率2.08をマーク。完全復活したかに思えたが、昨年は試練が待ち受けていた。4月に左膝痛で戦線離脱。6月末に一軍に復帰したが、球に本来のキレがない。15試合登板で防御率8.76と精彩を欠き、8月上旬に登録抹消されると一軍に復帰することはなかった。チームは4年ぶりのリーグ優勝を飾ったが、「ほぼ二軍にいて悔しかった」と悔しさの方が大きかった。

修羅場をくぐり抜けて得たもの


 このままでは終われない。挫折を何度も乗り越えてきた左腕が今年は再び輝きを取り戻している。修羅場をくぐり抜けてきたことで、得たものは多い。

「リリーフでもそれぞれのポジションで難しいところはあると思うんですけど、緊迫している場面で出る投手の場合は、なかなか試合を読みながら、自分でうまく調整する、少なくとも完璧に調整するというのは難しい状況が多い。抑えになると今度はメンタル的な難しさが出てくる。やっぱりチームを勝ちにつなげる最後のポジションなので、プレッシャーは相当、掛かってくる。それでも、キャリアを重ねる中で、試合を重ねる中で、慣れは出てきたかなと思いますね。そこは、若いときとは違ってきている」

 プロ通算100ホールドにあと11に迫っているが、記録達成は通過点に過ぎない。一軍の戦力として最後まで走り抜き、リーグ連覇に貢献へ。鉄腕の本領発揮はこれからだ。

写真=BBM

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