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【首都大学リポート】チームを連覇へ導く活躍を期す 日体大が誇るクラッチヒッター・谷口翔生

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東海大系列から日体大へ


日体大・谷口は打線の中心を担っている[写真=大平明]


【5月4日】首都大学一部リーグ戦
日体大8x-7東海大(延長11回)
(1勝1敗)

 首都大学リーグ第5週2日目。今季の優勝争う1位・東海大と2位・日体大の2回戦は、前日に先勝を許した日体大が雪辱。延長タイブレークにもつれる大激戦を制し、8対7で逆転サヨナラ勝ち。対戦成績を1勝1敗のタイに戻して首位に並んだ。この一戦で7回裏、同点の2ランを放ったのが谷口翔生(3年・東海大相模高)だ。

 東海大相模高の2年時、谷口はベンチメンバーとしてセンバツ優勝を経験。鳥取城北高との2回戦では代打として甲子園の土を踏んだ。しかし、翌年の夏は決勝で横浜高に惜敗。

「一つ上の世代はめちゃくちゃ強かったですね。ただ、技術的な面ですごく劣っていたというよりは、精神面で大きな差があったと思います」

 東海大の系列校に通っていた谷口だが、大学は首都大学リーグで東海大とライバル関係にある日体大に進学した。

「進学先は迷ったのですが、高校時代からお世話になっている1学年上の門馬功さん(4年・東海大相模高)が在籍していたこともあって、日体大を選びました」

 日体大の野球部については「チームの雰囲気がすごく良い」と印象を話しているが、現在、日体大には東海大相模高から4人。同じく東海大系列の東海大菅生高からは8人が進学しており「プレーしやすい」と話している。

 日体大では1年秋にリーグ戦デビュー。

「門馬さんは下級生の頃からリーグ戦にレギュラーとして出場していますが『いつも良い結果になるわけではないけれど、気持ちを切り替えて次の打席への思いを強く持っている』という話を聞いて、自分も悪い結果を引きずらずに切り替えるようにしたところ、余裕を持って打席に立てるようになりました」

 今春はオープン戦から好調をキープ。そして、今春のシーズン途中から指名打者としてスタメンの座をつかんだ。

「冬のキャンプで門馬さんから『力があるんだから、そこまで振らなくてもいいんじゃないか』とアドバイスしていただきました。それからは脱力することを意識してスイングすることで調子が上がっていったんです」

尊敬する先輩へリベンジ


 第2週の帝京大1回戦では「タイムリーを打ったのが粘ってからの一本だったのですが、この打席で良い感覚がつかめました」と谷口。

 翌週の帝京大2回戦では、あとアウト一つで勝ち点を落としてしまう9回二死から「かなり気持ちがたかぶっていたのですが、チームメートから『冷静に』と言われて打席に入りました」と同点に追いつく起死回生の2点適時二塁打を放ち、チームのサヨナラ勝ちに貢献。古城隆利監督は「谷口は思い切りよくスイングできるのにミート力があるので、追い込まれてもバットに当てられる選手。そして、何よりもピッチャーに向かっていくことができ、精神的に強い」と評価。谷口も「チャンスの場面で弱気になることはありません」と勝負強さを持ち合わせている。翌日の帝京大3回戦でも「先制されてイヤなムードになりそうなところで打ってくれました」(古城監督)と同点打を放っている。

 この日の東海大2回戦は三番・DHで先発出場すると、2点ビハインドの7回裏に二死一塁の場面からレフトへ2ランを放った。

「後ろに四番の酒井成真(3年・東海大菅生高)がいるのでつなぐつもりだったのですが、高めの真っすぐに体が自然と反応して打つことができました」

 終盤、日体大は篠原颯斗(4年・池田高)、東海大は米田天翼(3年・市和歌山高)と両チームともに、前日も登板したエースを投入。さらに延長10回、東海大は大塚瑠晏(4年・東海大相模高)、日体大は黒川怜遠(4年・星稜高)と両チームの主将が2点適時打を放って2点を取り合うなど、どちらも譲らぬ熱戦を繰り広げた。

 最後は11回裏、日体大・小林聖周(2年・浦和学院高)のライト線への2点適時二塁打で逆転サヨナラ勝ちを収めたが「高校の先輩の大塚さんとはライバルチームとして対戦する立場になっているのでうれしくも思いますし、複雑な気持ちもあります。ただ、昨日はやられていたので、今日は絶対に勝ってやろうと思っていました」と谷口は尊敬する先輩に対し、リベンジを果たしている。

 この一勝で日体大は7勝2敗、勝ち点3と東海大と同率の首位に立ち、谷口は打率.392をマークしている。

「チームは日本一を目指しているので、3回戦も東海大に勝ってそのまま行きたい。個人としてはベストナインを狙える位置にいますが意識することなく、ここぞという場面で一本打ちたいです。そうやってチームが勝っていけば、おのずと結果も付いてくると思います」

 日体大が誇るクラッチヒッターはチームを連覇へ導く活躍を期している。

文=大平明

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