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【大学野球】明大出身の91歳・土井淳氏がレジェンドOB始球式

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「何とかキャッチャーまで届きました」


明大OB・土井淳氏がレジェンド始球式を務めた[写真=田中慎一郎]


【5月10日】東京六大学リーグ戦

 東京六大学結成100周年を記念したレジェンド始球式。立大-明大1回戦で大役を務めた明大出身の土井淳氏は、この春に登場する六大学OBの中で最高齢91歳である。マウンドまでしっかりと歩き、プレートのやや前からワンバウンド投球を披露。若さの秘訣はこうだ。

「若いフリをしているんです(苦笑)。健康維持のために、用事がないときでも歩くようにしています。うまいものを食べて、おいしいお酒を飲んで、よく寝る。習慣づいています」

 霧雨の中での始球式の感想をこう語った。

「久しぶりに明治のユニフォームを着て、緊張しましたね。(右手で胸のMEIJIをさすりながら)このスペルが良いんですよ。私が明治に在籍していたと当時、神宮は毎試合、超満員でした。今日も超満員を期待しましたが、ちょっと少なかったですねえ(苦笑)。プレートの上からと思いましたが、だんだん前に……。ストライクは無理にしても、届かせないと。何とかキャッチャーまで届きました」

 土井氏は岡山東高、明大、大洋を通じて秋山登とバッテリーを組んだ名捕手である。

「開校以来、初めて甲子園に出場し、同期の中西太(元西鉄)がいた高松一高に初戦敗退。すり鉢のような球場で上がってしまい、秋山は中西に打たれ、力を発揮できませんでした。明治では1年からレギュラーとして抜てきされ、神宮はグラウンドからスタンドまでが近く『大人の野球』に参加したような感覚でした。秋山はすごい投手でしたので、彼に引きずられて、負けないようにやったのが良かった。田舎の岡山から出てきて『野球で頑張らなきゃ』という中で、成功できたほうかと。あとの野球人生につながった。私の野球人生、六大学がスタート、原点だと思います」

東京六大学結成100年への思い


 恩師は「御大(おんたい)」として親しまれ計37年、明大を指揮した島岡吉郎氏である。

「1期生ですから。1年生で入って、藤井寺キャンプに選ばれて、ああいう丸みのある体型ですので『優しいおっさん』なのかと思ったら『こんなに怖い人がいたのか』と(苦笑)。戦後の風習が残っていましたから『精神野球』。朝から晩まで相当、鍛えられました(苦笑)。口ぐせは『なんとかせえ』『死ぬ気でやれ』。御大からの指示を4年間、守ってきました。精神野球を通じて、明治の『人間力』が自然と身につき、後の人生に生かされました」

 東京六大学結成100年への思いを語った。

「未来永劫、続くだろうと思います。伝統ある明治大学野球部も創部100年を超えています。連盟結成100周年のときに、いま、91歳でしょう(笑)。そんなに前ではないかな、と。私も歳を取ったと思いますよ。この明治の素晴らしい(胸のMEIJIの)マークが何百年でも続くように、後輩も頑張ってほしい」

 ユニフォームへの愛着を何度も語った土井氏。左肩にはイノシシワッペンが入っている(2019年に復刻)。「御大の干支に由来して、入れたそうです。私のときにはありませんでした」。天国から島岡氏、そして、盟友の秋山氏も土井氏の雄姿を見守っていたはずだ。

文=岡本朋祐

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