9回にまさかの展開

立大のエース・小畠は9回表に痛恨の決勝ソロを浴びるも、持ち味の粘投が光った[写真=田中慎一郎]
【5月10日】東京六大学リーグ戦
明大2-1立大(明大1勝)
立大は2017年春以来の天皇杯奪還へ、第5週で対戦する首位・明大戦がポイントだった。
立大は開幕カードの慶大戦を1勝2敗で落としたものの、法大戦は連勝で今季初の勝ち点。そして早大戦は2勝1敗で勝ち点を2に伸ばした。明大は開幕4連勝(1引き分けを挟む)と勢いに乗っているが、ここで立大が勝ち点3を奪取すれば、V争いは大きく変わる。
立大はその意味を十分に理解した明大1回戦だったが、1対2で落とした。1点を追う8回裏に鈴木唯斗(4年・東邦高)が同点ソロを放つ。この日はプロ併用日のため、連盟規定により9回打ち切り。立大は9回表の明大の攻撃を抑えれば「引き分け以上」だったが、まさかの展開が待ち受けていた。
立大のエース・小畠一心(4年・智弁学園高)は、先頭の明大四番・
内海優太(3年・広陵高)に痛恨の決勝ソロを浴びる。重い1点となり、その裏の攻撃も無得点に終わった。明大の先発左腕・
毛利海大(4年・福岡大大濠高)に8回4安打に抑え込まれ、9回は二番手で救援してきた
大川慈英(4年・常総学院高)の三者連続三振と手も足も出なかった。
小畠は試合後、被弾についてこう振り返った。
「真っすぐのインコースが、中に入った。失投と言いますか……前半は押し切れていましたが、(この場面は)押し切れなかった。皆に申し訳ない。自分の責任です」

1点を追う8回裏、六番・鈴木が同点ソロ。木村監督からの「打ってくれると信じていた」との期待に応えた[写真=田中慎一郎]
立大・木村泰雄監督は前を向いた。
「また、明日勝って、次につなげていきたい。投手陣、野手陣も全員で明日の勝ちに向かって戦っていく」
立大は1点を追う7回裏。ゲームの流れを変える可能性のあるプレーがあった。一死から四番・西川侑志(4年・神戸国際大付高)がこの日、2本目となる左前打で出塁した。ここで木村監督は代走を起用。「勝負どころか、と。迷いなく出した」(木村監督)。次打者が二ゴロで二死三塁。次打者の3球目、二塁走者が三盗を仕掛けるも失敗した。
このプレーについて木村監督は「ベンチとしては、打者(8回裏に同点ソロを放った鈴木)に任せていた。150パーセントぐらいの自信がないと……」と振り返った。いつも冷静な指揮官が珍しく、やや語気を荒げるような口調となったが、すぐに軌道修正した。
「スキがあったら……ということは常々言っていた。彼というよりも、ベンチの責任」。学生を責めることはせず、敗戦のすべては監督にあると、あらためて明言した。勝てば、選手の手柄。負ければ、使った監督の責任。木村監督のスタンスは一貫としている。これを聞いた選手は、奮起しないわけがない。2回戦につなげる1敗にしなければいけない。
今春の5勝のうち、3勝がサヨナラ勝ち。「粘りの立教」は、2回戦以降が本領発揮である。
文=岡本朋祐