リーグ4位の防御率2.37

城西大・鈴木は1年生ながら投手陣をけん引している[写真=大平明]
【5月11日】首都大学一部リーグ戦
武蔵大6-4城西大(武蔵大2勝1敗)
首都大学リーグ第6週2日目。今季はここまで最下位と苦しいシーズンとなっている城西大。同じく勝ち点ゼロの武蔵大との3回戦は勝ったチームが勝ち点を挙げることができる大事な一戦となった。この試合で、1年生ながら城西大の先発マウンドを託されたのが鈴木耀斗(1年・昌平高)だ。
昌平高に在籍していた昨夏は埼玉大会の決勝戦で先発した鈴木。「背番号は『17』でしたが、夏から先発する機会が増えていました」。5回戦の上尾高戦では8回を2失点に抑えるなどチームの勝ち上がりに貢献していたが、決勝では花咲徳栄高の前に5回途中で無念の降板。チームも延長10回タイブレークの末に9対11で敗れ、甲子園を逃した。
「あの試合は人生で一番悔しい試合。元々、初回の入りに課題があったのですが、決勝戦でもボロが出てしまいました」
その悔しさを糧に、高校の野球部を引退してからも厳しいトレーニングを積み重ねてきた。
「一から体を鍛えなおすつもりでランメニューやウエイト・トレーニングをしてきました。甲子園に出られなかったことが今も練習への原動力になっています」
城西大に入学後も体作りに取り組んできた。
「ウエイト・トレーニングで下半身を重点的に鍛え、瞬発系のメニューを多くこなしてきました」
オープン戦が始まると「大学は甘いところへ投げたらしっかりととらえられてしまいますが、高校の頃と変わりなく良い感じで投げられました」と結果を残してきた。
村上文敏監督は「球持ちが良いのでスピードガンの数字よりもストレートに力があり、バッターを差し込むことができる。クイックも上手ですし、ピッチャーとしてのセンスがある」と今春は開幕週から2戦目の先発として抜擢。その起用に応え、鈴木は前週まで4試合に登板し、通算19回を投げてリーグ4位の防御率2.37をマークしている。
公式戦では最速145キロ
上々の数字を残しているが、本人は「周囲からは『良かった』と言われますが、自分としては全然ダメ。満足いく投球ができていないので初球の入り方などを工夫していきたい」と反省を口にしている。鈴木が目指しているのは「160キロを投げること」。
公式戦では最速145キロだが「練習で一度だけ150キロを投げたことがあります。これからもトレーニングを続け、タイミングや力の入れ方を習得していきたいです」と大きな目標を掲げている。
この日の武蔵大との3回戦では、初回に味方のミスもあって3点を奪われる苦しいスタートとなった。だが、「打線が取り返してくれると思っていたので、自分は『相手を抑えるだけだ』と考えて、思い切って投げました」と、その後は走者を許しながらも粘りのピッチング。2回表は二死二、三塁のピンチを招くも144キロのストレートで追い込むと最後はライトへのファウルフライ。3回表の二死一、三塁の場面では「一番、自信がある」という真っすぐで空振り三振を奪った。
4回を投げ切ったところでマウンドを降りたが、失点は初回の3失点(自責点は1)のみ。リードした状態でリリーフ陣にバトンをつなぎ、村上監督も「点は取られましたが、ゲームを作ってくれました」と評価している。
チームは終盤に逆転を許し、4対6で武蔵大に敗戦。痛い黒星を喫してしまった。次週は一部残留を懸けて、帝京大との決戦に挑むことになるが「帝京大に勝って終わりたい」と鈴木。雨の影響で帝京大よりもリーグ戦の進行が早いこともあり、必勝を期す城西大。窮地を脱するには1年生右腕の活躍が欠かせない。
文=大平明