週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

打球速度は大谷翔平級 巨人に移籍で「覚醒期待の長距離砲」は

 

一時逆転の代打3ラン


5月18日の中日戦で移籍2号となる代打アーチを放った


 低い弾道と思われた打球が、バックスリーン右に加速して飛び込んだ。こんなアーチを打てる選手は日本球界でなかなかいないだろう。トレード移籍して1週間も経たず、早くも2本目のアーチを放った巨人リチャードだ。

 衝撃の一撃は5月18日の中日戦(東京ドーム)で飛び出した。1点差を追いかける5回二死一、三塁の好機に代打で登場すると、相手先発左腕・松葉貴大の低めのスプリットをすくい上げた。ライナー性の打球はスタンドへ一直線。試合は救援陣が崩れて逆転負けを喫したが、リチャードの一発で巨人ファンのボルテージが最高潮に達した。

 野球人生の岐路を迎えている。5月12日に秋広優人大江竜聖との交換トレードでソフトバンクから移籍。翌13日の広島戦(マツダ広島)に「七番・三塁」でスタメン出場すると、5回に左腕・森翔平の直球を左中間に叩き込んだ。1035日ぶりのアーチを含むマルチ安打で鮮烈デビューを飾った。その後は13打席連続無安打でスタメン落ちしたが、下を向いている時間はない。代打で2号3ランを放ち、存在価値をアピールした。

生粋のホームランアーチスト


 生粋のホームランアーチストだ。フリー打撃でサク越えを連発し、実戦で放ったアーチの打球速度が180キロを超えることも。大谷翔平(ドジャース)に匹敵する数値だ。本塁打王を4度獲得し、自主トレでリチャードに助言を送ってきた山川穂高も長距離砲としての才能に一目置いていた。2018年育成ドラフト3位で入団すると、20年に支配下昇格。21年9月に一軍デビューすると、約2カ月間で7本塁打をマークした。リチャードは週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っている。

「確かに二軍だったら一か八かで長打を狙いにいってしまう場面でも、一軍の場合はやっぱり『チームのため』というところが大前提になってきますからね。例えば、ノーアウトもしくはワンアウト一塁だったら、ランナーを進めることが第一で、最悪アウトになるとしてもゲッツーよりは三振。だから、内野ゴロにならないように、しっかりと振りにいく。何をしたらチームにとってベストなのか、その思いはこの1カ月で、本当に強くなりました」

環境を変えることで開花の可能性


ソフトバンクでは安定した結果を残せなかった


 ソフトバンクで将来を背負うスラッガーとして期待され、王貞治球団会長も素質にほれ込んだ。同年の秋季キャンプでは「強い気持ちを持てばいける。俺とお前で40本にするぞ」とハッパをかけられ、熱血指導を受けた。だが、一軍定着できないまま時が流れる。ウエスタン・リーグで5年連続本塁打王に輝いたが、プロ野球は一軍の世界で活躍して評価される。大きな課題は確実性だった。21年から3年連続打率1割台で、昨年も打率.226、0本塁打と力を発揮できない。今年は正三塁手の栗原陵矢が開幕前に故障で離脱。リチャードにチャンスが与えられたが、6試合出場で打率.091、0本塁打。22打数2安打、12三振と打席内容が振るわなかった。4月5日に登録抹消されると、ファーム暮らしが続いていた。

 打撃技術は一朝一夕で習得できるものではないが、環境を変えることで眠っていた可能性が引き出される可能性がある。ソフトバンクで一軍出場がなかった水谷瞬は23年オフに現役ドラフトで日本ハムに移籍すると、昨年の交流戦で史上最高打率.438をマークして交流戦MVPを獲得。97試合出場で打率.287、9本塁打、39打点と自己最高の成績を残した。昨オフに現役ドラフトでソフトバンクから日本ハムに移籍した吉田賢吾も、移籍初年度の今季からインパクトを与えている。古巣との対決となった4月2日のソフトバンク戦(エスコンF)で藤井皓哉から右翼席にプロ初アーチ。27試合出場で打率.232、4本塁打と奮闘している。

 巨人は大黒柱の岡本和真が故障で長期離脱している中、長打を打てるリチャードは貴重な存在だ。新天地で活躍することが育ててくれたソフトバンクへの恩返しになる。覚醒してチームの救世主になれるか。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング