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坂本勇人、田中将大がファーム調整の中、全盛期迎えた「88年世代の謙虚な右腕」は

 

奮闘するベテラン


ヤクルトのクローザーを務める石山


 最下位に低迷するヤクルトで、奮闘するベテランがいる。36歳右腕の石山泰稚だ。

 今季は16試合登板し、失点を喫したのは黒星を喫した5月7日の広島戦(神宮)のみ。150キロ近い直球は浮き上がるような軌道で、スライダーもキレ味が鋭い。打者のバットが空を切る場面が多く、15回1/3を投げて18三振と奪三振能力が高い。4月5日の中日戦(神宮)では上林誠知細川成也石川昂弥を三者連続3球三振。1955年(国鉄)の金田正一以来球団史上2人目の快挙で今季初セーブをマークした。

 その後も守護神として安定した投球を続けている。5月17日のDeNA戦(横浜)で1点リードの9回にマウンドに上がると、わずか7球で3者凡退に締めくくり、プロ通算99セーブをマーク。16試合登板で0勝1敗9セーブ4ホールド、防御率1.17の好成績でブルペン陣を支えている。

 謙虚な人柄で先輩に愛され、後輩に慕われている。セットアッパーの木澤尚文は、「石山泰稚さんのすごいと思うところは、どんなにすごい投球をしても、どんなに打たれても、必ず同じ表情でロッカーで過ごしているところです。やっぱり日ごろから野球に懸けているので抑えたらすごくうれしいと思うんですけど、決して表に出しませんし、打たれて悔しそうでも、ほかの人に気を使わせるような表情はしません。きっと1人のときに感情を出していると思うんですけど、いつも同じ表情で、同じ時間に来られるのは本当に仕事人ですし、プロだなと感じます」と尊敬の念を口にする。

4年目以降はリリーフに専念


 石山は豪華なタレントがそろう「88年世代」の一員だ。アマチュア時代は決して目立った存在ではなかった。金足農高に入学してから投手に転向し、東北福祉大に進学して大学選手権に登板するなど頭角を現したが、「大学時代も四番手か五番手ぐらい。(プロ)志望届は出していて、『下位で獲るかもしれない』って言ってくれる球団もあったんですけど、結局(ドラフト指名は)なくてっていう感じでした。だったら社会人で2年間やって、無理だったら(プロは)あきらめようと思いました」と振り返る。

 社会人の名門・ヤマハを経てドラフト1位でヤクルトに入団後も、注目度が高かったのは2位で入団した小川泰弘だった。新人で16勝4敗をマークし、最多勝、新人王を受賞。石山も60試合登板で10セーブ、21ホールドと救援で活躍したが、「先発で獲ってもらったんですけど、小川を見ていたら(先発でも救援でも)どこでもいいから一軍で活躍しないとダメだなって。とにかく一軍っていう気持ちで投げていましたね」と必死だった。

 先発に回った時期もあったが、プロ4年目以降はリリーバーに専念。セットアッパー、抑えとチームが必要とする役割で投げ続けた。昨年は37試合登板で1勝0敗5セーブ8ホールド、防御率4.35と安定感を欠いた。「納得のいくシーズンではないですし、本当にふがいないシーズンだったので、悔しさしかないです」と表情を曇らせたが、36歳の今季は復活どころか野球人生の全盛期を思わせる快投を見せている。

野球人生の岐路を迎える中で


 同学年のスター選手だった坂本勇人田中将大(共に巨人)は結果を残せずファームで汗を流し、首位打者を2度獲得した宮崎敏郎(DeNA)も状態が上がらず、ファーム降格を経験した。柳田悠岐(ソフトバンク)も4月上旬から右脛骨の骨挫傷で戦列を離れている。海の向こうでは前田健太がタイガースを退団し、カブスとマイナー契約を結んでメジャー昇格を目指している。それぞれの選手が野球人生の岐路を迎えている中、石山が見せるパフォーマンスは驚異的と言える。

 NPBで通算100セーブ100ホールドを達成した投手は8人しかいないが、大記録達成は通過点に過ぎないだろう。石山も立派なスター選手だ。最下位からの逆襲に向け、右腕を振り続ける。

写真=BBM
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