後輩・荒木大輔氏がコーチ就任

城西国際大は6年ぶり3回目の出場。チーム方針が浸透してきた[写真提供=城西国際大学野球部]
【第74回全日本大学野球選手権大会】
城西国際大を指揮して今春で9シーズン目の佐藤孝治監督には、指導者として変わらないポリシーがある。
「目標は千葉県大学リーグ戦で優勝を遂げて、トップ(大学日本一)を取ることですが、目的は学生野球としてふさわしい人間形成です。地域の代表ですので、応援していただけるようなチームでないといけない。社会とは人と人との信頼関係で成り立っている。組織の動かし方を学んだのは、管理職も経験させていただいた、23年のサラリーマン生活が大きかったです」
佐藤監督は早実出身。3年夏の甲子園(1980年)では正捕手として1年生エース・
荒木大輔(元
ヤクルトほか)とバッテリーを組み準優勝を遂げた。早大、日本石油でプレーし、現役引退後は社業に専念。18年から20年まで早大助監督として、高橋広前監督(現・神戸医療未来大監督)、
小宮山悟監督を支え、大学野球における指導者としての勉強を積んだ。
21年春に城西国際大の監督代行、同年11月15日に監督に就任した。理想と現実とのギャップを埋める日々。21年秋には一部最下位で、入れ替え戦も経験。物事というのは、一足飛びにうまくいくものではない。早大の後輩である田中成明コーチと二人三脚で、学生と向き合う日々を過ごした。昨年6月には早実の後輩・荒木氏が投手コーチに就任、名コンビが復活した。
荒木氏は定期的に学生を指導し、元プロの教えは目から鱗だった。難しいことは言わない。
「私、大輔も球速には興味がないので……。スピードよりもコントロール。同じ認識の中で進められたのは良かったです。アウトコースばかりだったんですが、内角を突く投球も教え込みました。投手はやはり、ランニングが大事です。腹筋、背筋と昔ながらのトレーニング。つまらないメニューだったと思いますが、チームに浸透。大輔に任せています」
成果は出た。失点が計算できれば、ゲームプランが立てやすい。昨秋は千葉県大学リーグ3位で、横浜市長杯(神宮大会代表決定戦)に駒を進めた。
神奈川大との初戦は壮絶な試合となった。
「1点を追う9回に5得点を挙げて逆転(9対5)したのも束の間、その裏に5失点でサヨナラ負け。その日のスコアは、ベンチに貼っています」
徹底されたチーム方針
旧チームの4年生が卒業。新チームは、手探りでのスタートだった。力のないことは分かっている。部員たちは背伸びすることもなく、実直に練習に取り組んだ。意図を理解した上で、質量を追い求めた。
2月の大分キャンプでは投手陣は10日間で500球の投げ込み、野手も1日500スイングを振り込んだ。練習後、球場から宿舎までの約3キロはランニング。猛練習により、皆で支えていこうというチームの一体感が増した。実戦では終盤の粘りにつながった。
投手陣は晒谷貫太(4年・湘南学院高)と西村知紘(3年・報徳学園高)の先発二本柱が確立。救援陣もそれぞれの役割で持ち味を発揮。ボールを受ける正捕手の主将・藤本空(4年・明秀日立)が好リードで導き、抜群のリーダーシップでチームをけん引した。「3点まではOK。打つほうは5点取れ!」。チーム方針が徹底されており、学生も迷いなくプレーできる。今春は国際武道大、千葉商大、中央学院大、敬愛大から勝ち点4で、10季ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。6年ぶり3回目の全日本大学選手権出場(6月9日開幕)である。
気負いはない。佐藤監督は言う。
「この春、対戦させていただいたリーグ戦の5大学には感謝しています。私たちはずっと、追いつくためにやってきましたので……。千葉県大学リーグは千葉工大・竹内秀一監督が中心に、リーグ戦運営しています。現場指導がありながら、連盟を動かしているのは大変なことだと思います。東京六大学リーグがいかに恵まれているかを実感しました。球場手配など、細かな部分まで手配があり、いろいろちとご苦労されている。私たちは千葉県大学リーグの代表であり、勝敗にこだわることはもちろんですが、きちっとした立ち居振る舞いをしないといけない。野球以外の基本的なことができて、初めて『目標は勝つこと』と言えるわけです」
城西国際大は全日本大学選手権1回戦で、大商大と対戦する予定だったが、出場辞退により、不戦勝となった。2回戦では青森大と東海大の勝者と対戦する。今春のリーグ戦から、スタンドにいる控え部員による、組織的な応援が立ち上がった。「全員が一緒に戦っており、プラスになっている」(佐藤監督)。学生野球としての本質を追い求め、チーム一丸となって最後の1球まであきらめずに戦う。
文=岡本朋祐