頭角を現したのは3年前

スタメンに定着して、チームの勝利のために力を尽くす
先制点の口火を切ったが、チームの敗戦に笑顔はなかった。6月1日の
中日戦(バンテリンドーム)。「一番・一塁」でスタメン出場した
巨人の
増田陸は初回に左前打を放ち、
泉口友汰の右中間適時二塁打で先制のホームを踏んだが、得点はこの1点のみ。同点に追いつかれた直後の2回二死一、二塁の好機で2打席目が回ってきたが遊ゴロに倒れ、悔しそうな表情を浮かべた。
プロの世界は活躍するより、活躍し続けることのほうが何倍も難しい。増田陸が頭角を現したのは3年前の2022年。ファームで結果を残せず育成契約の再出発からはい上がり、自己最多の69試合出場で打率.250、5本塁打、16打点をマークした。
中田翔(現中日)、
中島宏之ら実績がある選手を押しのける形で一塁のスタメンに。思い切りのよい打撃は、自主トレで教えを請うた尊敬する
坂本勇人と重なる。さらなる飛躍が期待されたが、23年は左肘の負傷で離脱するなど一軍出場なし。昨年は開幕を二軍で迎え、6月中旬に一軍昇格したが4試合出場で5打数無安打に終わり、10日あまりでファーム降格した。その後に再昇格する機会はなく、4年ぶりのV奪回に貢献できなかった。
4月下旬からスタメン起用増
巨人は昨秋のドラフトで内野手を3人獲得している。背水の陣に置かれた増田陸は己の立場を分かっているだろう。開幕前のチーム構想は一塁・
岡本和真、三塁・坂本の布陣だったが、坂本が打撃不振でファームに降格し、岡本も左肘じん帯損傷で長期離脱に。想定外の事態が相次ぎ、増田陸は4月下旬から一塁のスタメンで起用されるようになるとコンスタントに打ち続けた。
5月16日の中日戦(東京ドーム)では4回一死から、ドラフト1位左腕・
金丸夢斗の148キロ直球を左中間に叩き込む先制の2号ソロ。22年8月4日
阪神戦(東京ドーム)以来、1016日ぶりの本拠地アーチとなった。28日の
広島戦(金沢)でも初回に
大瀬良大地のフォークを捉えて左翼席に自身初の初回先頭打者アーチを放ち、7回に貴重な追加点となる適時二塁打を放って勝利に貢献。前日27日の同戦(富山)で1点ビハインドの9回二死一、三塁の好機で
栗林良吏のフォークに空振り三振で最後の打者になり、試合後はベンチでうなだれて悔しさをにじませていた。やられたままでは終われない。今季は31試合出場で打率.297、3本塁打、8打点。チャンスメーカーとしての役割をまっとうしている。
常勝軍団の一員としての自覚
巨人は常勝軍団の一員として戦う自覚が求められる。坂本は21年に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。
「プロなので、自分の成績を気にするのは当然のことです。とはいえ、自分のプレーだけにとどまってしまうのも、チームスポーツである野球ではどうなのか、と。個々人が自分の仕事をしっかりと果たして、結果を出してくれれば、チームのプラスになるのですが、それだけでは、やっていてつまらないと僕は思いますし、先輩たちから教わってきたジャイアンツの野球はそうではない」
「優勝を常に目指さないといけないチームでプレーしている以上は、自分が打ったとか、打たなかったとか、それだけではダメだと思います。うまく説明できないので『いや、自分の成績にこだわらないとダメだろ?』と思う人もいるでしょうし、受け取り方はそれぞれ違うかもしれないですけど。もちろん、これは試合に出ている人たちの話です。ただ、レギュラーを取りかけている選手や、何年も一軍でプレーしている選手は、周りのことも見ながらやれば、自分にも絶対にプラスに働くと思います。選手一人ひとりが考える力を身につけ、自覚を持ってチームのためにプレーする。そうあってほしいなと」
坂本の教えは増田陸の頭に叩き込まれているだろう。チームが勝つために何をすべきか。「岡本、坂本が不在だから勝てない」と言われるのは本意ではない。3日から交流戦がスタートする。喜怒哀楽を前面に出しプレースタイルで、チームの導火線に火をつける。
写真=BBM