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【大学野球】東北福祉大が7年ぶり大学日本一 現役学生に協力を惜しまないOB会

 

どっしりとしていた山路監督


7年ぶりに母校を日本一へと導いた東北福祉大・山路監督[左]。学生との強固な信頼関係でつかんだ頂点だった。右は主将・仲宗根皐[4年・沖縄尚学高][写真=矢野寿明]


【第74回全日本大学選手権】
6月15日 決勝 神宮球場
東北福祉大8-1福井工大

 東北福祉大が7年ぶり4度目の大学日本一に輝いた。一塁側のスタンドでは、硬式野球部OB会長・村瀬公三氏が喜びを口にした。

「毎年、神宮に出て勝ち上がれれば良いですが、それは難しいこと。仙台六大学リーグでは仙台大学さんが力を付けられている。150キロを越える投手が3人もいるんですから……(苦笑)。お互い切磋琢磨しながら、どちらが勝ってもおかしくない状況でした。東北福祉大は一昨年、昨年と全日本大学選手権出場を逃していました。そればかりではなく、2022年春を最後に、秋の明治神宮大会を含めて5季連続で逃していたんです。私の恩師でもある伊藤義博監督(故人)が就任した1984年以降では、あり得ない事態でした。この春は仙台大さんを倒してきたので、選手たちも自信を持って臨めたのではないでしょうか。それにしても5試合で32得点ですか、よく打ちましたね。もともとは櫻井頼之介(4年・聖カタリナ)ら投手陣を軸に守り勝つ野球がスタイルでしたが、リーグ戦以降、もう一度、作り直してきたと聞いています。社会人チームとのオープン戦も積んで、ベンチ入りメンバー25人の最終的な見極め。東京に乗り込むギリギリまでチーム内競争を繰り広げました」

 村瀬OB会長はチームを指揮する山路哲生監督(4年時は主将)の1学年下。2、3年時には全日本大学選手権で準優勝を経験している。4年時は副主将を務め、卒業後は七十七銀行で兼任コーチを含めて9年プレーし、現役引退後、同社の監督を7シーズン務めた。2011年に母校の助監督に就任し、大塚光二前監督が退任する23年1月まで務めた。後を継いだ山路監督は2期目である。1期目は伊藤元監督の後任として03年に就任。04年には2度目の大学日本一へ導いた。大塚前監督が就任した15年7月からは総監督、23年1月に監督に復帰していた。村瀬氏は23年12月にOB会長就任。助監督を退いて以降も大学職員(キャリアセンター キャリア支援課)として、山路監督を身近で支えてきた。

「苦労したと思います。今の時代の子たちには、寄り添っていく指導が必要なんです。第1期の在任時は、伊藤監督があまりにも偉大すぎて、その後継者ですから、周囲の期待も相当、大きかったと思います。今回は前回とはスタンスが違います。山路監督も年齢を重ね、伊藤監督の良い部分を踏襲し、あとは自分のカラーを織り交ぜて、進化させた。今年は学園創立150周年の節目。この春は絶対に勝たないといけなかったわけですが、山路監督は終始、穏やかでした。学生たちの取り組みを信じている。腹が決まっていたのか、どっしりとしていた印象がありました」

神宮に大挙押し寄せたOB


村瀬OB会長は神宮球場のスタンドで、母校の活躍をじっと見つめていた[写真=BBM]


 OB会は、現役学生に協力を惜しまない。一体感も構築。毎年12月第1週の土曜日にOB総会が仙台市内で行われるが、遠方の卒業生が足を運ぶのは難しい。そこで村瀬OB会長と金沢成奉幹事長(明秀日立高監督)が全国4カ所(関東、関西、中国・四国、九州)を回り、各種会合を通じて「団結」を呼び掛けた。

 福井工大との決勝では約100人が神宮に集結。もともとネットワークが強固で、結束力が高いOB会ではあったが、この日のボルテージは最高潮だった。一塁側スタンドに大挙押し寄せ、戦況を見守っていた。「本当にありがたいです。しばらく遠ざかっていましたから、皆さん、喜ばれたようで良かったです」。しかし、浮かれるのは、この日までである。

「秋のリーグ戦は大変です。大学日本一を達成したからと言って、勝てる保証はどこにもありません。リーグ戦を制しても、東北3連盟による神宮大会代表決定戦が控えています。神宮に戻ってくるのは、相当な道程です。継続して勝って本物。山路監督には秋以降の戦いにも注目しています。OB会としては可能な限りで支援していきたいと思っています」

 福井工大との決勝は序盤から主導権を握り、8対1で快勝。7年ぶりの大学日本一を手にすると、山路監督は直後の優勝インタビューで大学、学校職員、そして野球部員に対して、感謝の言葉を並べた。閉会式後、学生によって神宮の杜を何度も舞った山路監督。スタンドに残っていたOBも、至福の瞬間だった。

文=岡本朋祐
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