3年目で支配下昇格

左の長距離砲として期待の大きい三塚
9打数無安打で6三振。一軍の厳しさを味わっているが下を向かない。必死にアピールを続けているのが、
巨人の和製大砲・
三塚琉生だ。
6月13日に育成契約から支配下昇格すると、翌14日に一軍昇格。同日の
オリックス戦(京セラドーム)に「八番・指名打者」で一軍デビューを果たした。球界を代表する左腕・
宮城大弥に翻弄されて3打席連続三振を喫した後、延長10回の第4打席でルイス・
ペルドモの147キロ直球を捉えて強烈なライナーを放ったが右直に。4打数無安打に終わったが、全打席でファーストストライクをスイングし、積極性を失わなかった。17日の
日本ハム戦(東京ドーム)では、4回に左翼の守備で三塁側のファウルゾーンに追いかけると、エキサイトシートに入りそうな打球にジャンプして好捕。プロ初安打は出なかったが、守備でチームに貢献した。
桐生第一高から23年に育成ドラフト6位で巨人に入団。高校通算31本塁打を放ち、他球団のスカウトは「打撃だけで言えば、支配下指名の高校生と遜色はない」と高評価を口にしていた。1年目の23年6月に三軍戦で左膝後十字靱帯損傷、左膝内側半月板損傷の大ケガを負って手術したが、リハビリ期間で肉体強化に取り組んだ。昨年6月に実戦復帰し、今年は強烈に存在をアピールする。三軍で打率.351、2本塁打、11打点の好成績を残して5月から二軍に昇格すると、打率.357、4本塁打、11打点をマーク。印象に残ったのが、6月12日のイースタン・日本ハム戦(Gタウン)で放ったアーチだ。「五番・一塁」で先発出場すると、6回に身長190センチ右腕・
福島蓮の外角の変化球を振り抜き、右翼後方の防球ネットを直撃する特大弾。規格外の一発に球場がどよめいた。
高卒2年目で開花した村上
球界を代表するスラッガーになる選手は、駆け出しのときからホームランアーチストの片鱗を見せる。令和初の三冠王に輝き、日本選手記録の56本塁打を樹立した
村上宗隆(
ヤクルト)もその一人だ。
阪神で監督を務めた野球評論家の
岡田彰布氏は当時高卒2年目を迎えた村上の打撃を見て、「さらに大きな上積みが期待できる選手が出てきた。それがプロ2年目の村上(村上宗隆)よ。さすが昨年のドラフト1位。高卒ルーキーが昨季、初打席初ホームランを放っただけのことはある。とにかくスケールのデカいバッティングは無限の可能性を感じさせるのよ。(当時の)小川(
小川淳司)監督は明言しなかったけど、頭の中には開幕三塁があるに違いない。それほどの伸びを示しているし、見て感じたのは
DeNAの筒香(
筒香嘉智)のイメージやな。このまま成長していけば、四番になるよ。それほどの素材やし、チームとしても三塁守備を重点的にやらせているように、将来を見据えた取り組みをしていた。こんな若者が出現することで、チームは活性化され、全体が刺激を受ける」と週刊ベースボールのコラムで素材を絶賛していた。
持ち味の長打力でアピール

村上は高卒2年目に36本塁打を放つなど能力が花開いた
その予言どおり、村上はプロ2年目に36本塁打を放ってブレーク。本塁打王を3度獲得し、球界を代表するスラッガーに駆け上がった。
同じ左打ちで豪快なスイングからスタンドに軽々と運ぶ打球の軌道が、村上と重なる。大ケガに見舞われ、三軍からはい上がった三塚は大きなチャンスだ。巨人は主砲の
岡本和真が左肘靱帯損傷で長期離脱している。
ソフトバンクから
リチャードをトレードで緊急補強したが、18試合出場で打率.095、2本塁打、4打点と振るわず13日に登録抹消された。本来はチャンスメーカーの
吉川尚輝を2試合連続四番で起用するなど
阿部慎之助監督が打線の構築に頭を悩ませる中、三塚が持ち味の長打力でアピールできれば出場機会が増える。
トレードマークの太い眉毛でりりしい風貌は、「ミスタープロ野球」として野球ファンに愛された巨人終身名誉監督の
長嶋茂雄さんの若かりしときと重なる。勝負強い打撃で大打者になれるか。21歳の和製大砲の挑戦は続く。
写真=BBM