すべての球種が一級品
なかなか白星がつかないが、驚異的な安定感を誇るのが
巨人のフォスター・グリフィンだ。
来日3年目の今季は開幕2戦目に先発予定だったが、発熱により登板を回避。4月20日の
ヤクルト戦(神宮)も体調不良で登板を急遽取りやめた。4月の登板は救援の1試合のみだったが、先発ローテーションに復帰した5月以降は安定した投球を続けている。今季初先発板となった5月4日の
DeNA戦(横浜)で6回2安打無失点に抑えて以降に3連勝をマークした。
チームが苦戦した交流戦でも奮闘する。6月7日の
楽天戦(東京ドーム)で6回4安打無失点に抑え、4勝目をマーク。14日の
オリックス戦(京セラドーム)は好投手・
宮城大弥との投げ合いで一歩も引かなかった。5回に先制点を許したが、6回一死一、三塁にピンチで
杉本裕太郎を初球のチェンジアップで遊ゴロ併殺打。普段は感情を表に出さない左腕がグラブを叩いて雄叫び上げた。8回途中5安打1失点で降板して5勝目はならなかったが、防御率0.78となった。
他球団の首脳陣はグリフィンについて、こう分析する。
「すべての球種が一級品。直球、スライダー、カットボールが軸になっているけど、チェンジアップ、スプリットが投球のアクセントになっている。縦変化の球種が2つ入ることで球種が絞りづらくなり、打者がタイミングを崩される。制球力も良いですし、現在の助っ人外国人投手の中でNo.1左腕だと思います」
来日6年間で通算57勝の左腕
日本で活躍した助っ人左腕で浮かぶのが、
広島の黄金時代を支えた
クリス・ジョンソンだ。来日1年目の2015年に14勝7敗、防御率1.85で最優秀防御率のタイトルを獲得すると、リーグ制覇した16年も15勝7敗、防御率2.13の好成績を挙げた。17年は6勝にとどまったが、18年は11勝と復活。球団史上初となるリーグ3連覇の立役者となった。来日6年間で57勝37敗、防御率2.76。身長193センチの長身から多彩な変化球を織り交ぜ、ゴロの山を築く。投球のアクセントになったのが、縦に割れるカーブだった。ジョンソンは週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。

助っ人左腕として広島の3連覇に貢献したジョンソン
「カーブは初めて投げた変化球です。アメリカでは体が成長するまで、変化球を投げないという教えが一般的です。私も15歳くらいまでは変化球を投げずに育ちました。初めてカーブを投げたときは人さし指から小指まで、4本の指をそろえて、親指で逆サイドを支えるように持って投げるカーブでした。フットボールを投げるような感じと言えば分かりやすいでしょうか。その後、通常の握りでカーブを投げるようになり、いろいろと試行錯誤して、いまのスパイクカーブにたどり着きました」
「スパイクカーブを投げ始めたのは、実は今年からなんです。アメリカで投げていた昨年までは、通常のカーブの握りでした。オフには遊びの感覚の中で変化球のさまざまな握りを試したり、人からアイデアをもらって投げたりするんですけど、その中で感覚が良かったのがいまのスパイクカーブです。日本に来たから、ボールやマウンドの違いの中で握りを変えたわけではないんですよ。でも、ハードなカーブが投げられているので、自分に合っていたんでしょうね。スパイクカーブは人さし指を立てることで、それがボールの指南役を果たしてくれるんです。ボールのリリースに使うのは中指と親指ですが、人さし指が添えられていることによってボールが抜けるのを防いでくれます。球速が遅い分、甘く入ると危険なボールとなりますが、ミスをなくすという点でも確率が高いボールになっていると思います」
キャリアはこれから成熟期
グリフィンのほうが奪三振能力は高いが、身長190センチと長身の体形と多彩な変化球を操る投球スタイルが重なる。ジョンソンは
石原慶幸(現広島一軍バッテリーコーチ)とバッテリーを組む機会が多く絶大な信頼を口にしていたが、グリフィンも今季すべての登板試合で先発マスクをかぶる
岸田行倫という頼もしい相棒がいる。
リーグ連覇に向け、夏場以降も先発の軸として稼働してもらわなければ困る存在だ。29歳と野球人生のキャリアはこれから成熟期に入る。今オフの去就が注目されることは間違いない。
写真=BBM