事務局長には前職ロッテの球団職員

全日本野球協会・山中会長[左]は5期目を迎えた。写真右は会長の指名により、事務局長に就任した高橋氏。それぞれが抱負を述べた[写真=BBM]
全日本野球協会は6月18日、東京都内で評議委員会と臨時理事会を開いた。今年は役員改選期で評議員、理事、監事が交代。新任の評議員と理事には、女性が多く登用された。理事は前回の21人中4人から、今回は24人中10人へ。また、野球界以外、学識経験者などの外部理事は7人を占めている。
2018年、前任者の任期途中から引き継いだ山中正竹氏(78歳)は5期目の会長(代表理事)として再任。「野球界のために、という有識者もたくさんいらっしゃる。有能な活動をされている人材を入れ、新しい野球のさらなる輝きを目指す。心強い役員の人たちにそろっていただいた」。山中会長によると「JOCから女性理事の比率は40パーセントが望ましいと示されている」と、背景を明かした。
「野球は社会を動かす大きな力を持っている。これからの望ましい姿を思い描きながら、皆さんとともに良い組織にしていきたい。私たちの心をグラウンド上に置いて、選手のために何ができるのか。選手が『野球をやっていて良かった』『いつまでも続けたい』と、また、
大勢の人たちに『応援してもらいたい』『見てもらいたい』『支えてもらいたい』と思うような環境づくりを進めていきたいと思います」
なお、山中会長が指名する事務局長には高橋大地氏(44歳)が就任した。前職は
ロッテの球団職員で6年勤務し、そのうち4年半を「普及・振興」の部署で手腕を発揮。さらに多角的な立場で野球界全体の発展に寄与したいと2014年3月、全日本野球協会に転職した。U-15、U-12の指導者資格(ライセンス)の確立、16年にプロ・アマ協働で発足した日本野球協議会を通じての活動も展開してきた。
「野球を経験して、学んで、人生を豊かにしてほしいです。(全日本野球協会という)単体では難しいので、アマチュアの代表団体として各団体と連携を取りながら『普及・振興』に貢献していきたいと思います」
根本にあるのは「スポーツマンシップ」
山中会長が最も強調しているのが「野球質の追求」である。
「年齢を聞かれれば『まだ、78歳』と答えます。嫌な顔をされますが……(苦笑)。まだまだ、野球を学び続けていきたい。絶えず野球は、我々に課題を与えてくれるんです。昨今、具体的には少子化、スポーツの多様化と、取り巻く環境はものすごい勢い、スピードで変化しています。野球はどう生き残っていくのか。人生を教えてくれるのが、野球です。次から次へと考えることが出てくる」
その根本にあるのは「スポーツマンシップ」だ。インテグリティ(誠実、真摯、高潔)と強さが体現され、理想のチーム像となったのが金メダルを獲得した21年の東京五輪であり、世界一に輝いた23年のWBCだという。「素晴らしい野球の姿を見せてくれた。震えるような感動を覚えた」。山中会長は続ける。
「スポーツマンシップの本質を組織運営者が知らないと、現場の指導者にも教えられない。勝つことだけを目的にするのではなく『スポーツの意義』を学びましょうということです。それが何かと言えば、3つのキーワードは品性、知性、技術。現場を経験した組織の責任者として、我々は伝えていかないといけない」
勝利を求めるために、日々、目標に向かって努力する。技術を高めるだけでは、あまりにも寂しい。山中会長はロジックを示す。
「良いチームとは素晴らしいスポーツマン、素晴らしい野球人の集まり。良いチームにするには、良い選手にならないといけない。良い選手になるためには、考えないといけない。それが、勝つことへの近道だと思います」
人としての基礎となる品性、知性が伴ってこそ、技術を得られる。団体スポーツの中で、野球には多くの学びがある。まだ、78歳。山中会長は精力的に活動を継続していく。
文=岡本朋祐