週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

今季一軍登板なしも佐藤輝明が絶賛…巨人右腕に「将来の抑え候補」高評価が

 

イースタンで好結果


昨年は3試合、今季はまだ一軍登板がない田中千


 威風堂々。マウンド上の立ち姿が自信に満ちあふれているのが、巨人のプロ3年目右腕・田中千晴だ。今季は一軍登板がないが、ファームで格の違いを見せている。

 イースタン・リーグで12試合登板し、1勝0敗2セーブ、防御率0.77。6月月29日のイースタン・ロッテ戦(柏の葉)は7回から登板し、味方の失策と2つの四球が絡んで2点を失ったが、それまでは安定した投球を続けていた。25日のDeNA戦(Gタウン)では1回2奪三振の快投で8試合連続無失点。5試合連続で安打を1本も許していない。他球団のスコアラーは「打者の反応を見ると直球は球速以上に速さを感じ、フォークの精度が高い。一軍で十分に通用すると思いますし、将来の抑え候補になるでしょう」と語る。

 身長189センチの長身から最速155キロの直球、フォークを投げ下ろす本格派右腕だが、アマチュア時代を振り返っても、潜在能力の高さをまだ発揮しているとは言えない。国学院大では2年秋にリーグ戦デビューを飾ったが、3年は右肘の故障で登板なしに。4年から一気にプロのスカウトの評価を高める。直球が自己最速の153キロ直球を計測すると、4年秋のリーグ戦で初勝利をマークするなど2勝1敗、防御率1.42の好成績で4度目の優勝に貢献。完成度が高いとは言えなかったが、将来を嘱望されて巨人にドラフト3位で入団した。

垣間見せた大器の片りん


 プロ1年目の2023年は開幕を二軍で迎えたが、4月13日に一軍昇格すると、プロ初登板となった同日の阪神戦(東京ドーム)から7試合連続無失点。5月は痛打を浴びる登板が続いたが、30試合登板で2勝3敗3ホールド、防御率5.51をマークした。

 まだ一軍で目立った実績を積み上げていないにもかかわらず、驚きの証言が。週刊ベースボールの企画「12球団選手&首脳陣に聞く! 2023NPB現役投手最高の変化球は?」で、他球団の選手から田中千の名前が挙がった。佐藤輝明(阪神)はスライダーについて、「めちゃくちゃ曲がっていました。大きく変化していたので。(今年対戦したときは)打てなかったですね」と脱帽。木澤尚文(ヤクルト)はフォークに言及し、「すごく落ちます。とにかく落ち幅がすごい。セ・リーグで一番落ちているんじゃないかなと。落ち幅がすべてではないですけど、分かっていてもあれだけ落ちていれば打つのは難しい。映像で見ても、数値を見ても感じます」と絶賛した。2つの球種が称賛されたことも、大器の片りんを垣間見せた。

課題はフォームの再現性


 素材は抜群だが、課題は良い球を投げる再現性だ。田中千は「一番得意な球はフォークだと思っています。でも武器と言っているくせに、去年(23年)は安定感がなくて全然武器になっていなかった」と振り返った上で、リリースの瞬間にボールに伝わる力を強くするために、山本由伸佐々木朗希(共にドジャース)、トレバー・バウアー(DeNA)の投球動作を研究。「捕手方向に力を伝えようと押して投げていたけど、回旋の力を伝えられていないと。だから、腕を振り下ろす瞬間に下半身を思い切り回すぐらいのイメージで投げています」と投球フォームを見つめ直した。

 昨年は一軍で3試合登板のみ。ただ、8月1日の登板から閉幕まで一、二軍で計15試合連続無失点。同年オフに右肘のクリーニング手術を受けて今年の巻き返しを誓った。だが、巨人のリリーバーは層が厚い。中日から絶対的守護神のライデル・マルティネスが加入し、大勢カイル・ケラーアルベルト・バルドナード船迫大雅、復活した中川皓太に加え、現役ドラフトで日本ハムから移籍した田中瑛斗、DeNAから戦力外通告を受けて加入した石川達也もチームの窮地を何度も救ってチームに不可欠な存在になっている。

 暑い夏場は投手陣に疲労が出て、打撃陣の状態が上がる傾向が例年ある。リリーバーの活躍がチームの命運を握る中、田中千はファームで好投を続ければ一軍で登板機会が巡ってくる可能性は十分にある。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング