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「吉田正尚と重なる」他球団の評価高い「DeNAの若手成長株」は

 

プロ初本塁打が逆転満塁弾


力強いバッティングが魅力の井上


 DeNAに新たな風を吹き込んでいるのが、左のスラッガー井上絢登だ。

 プロ2年目の今年は開幕一軍スタートだったが、出場機会がないまま1週間も経たず登録抹消に。ファームで3カ月過ごし、6月はイースタン・リーグで月間打率.308、4本塁打と打撃の状態を上げていた。7月2日に再昇格すると強烈な活躍を見せる。同日の中日戦(横浜)で球界を代表する右腕・高橋宏斗から1点差を追いかける初回二死満塁でスプリットをすくい上げた打球は右中間に飛び込む逆転満塁弾。プロ初アーチが値千金の決勝打となった。

 素顔は天然キャラであることから、チームメートには「宇宙人」の愛称で知られている。お立ち台に上がると、「両親には感謝を伝えたい。あとはファームで長い期間コーチやスタッフの方にめちゃくちゃお世話になったので感謝しています」と思いを口にして、「2年目の井上です。これからもっともっと打ってたくさん活躍できるように頑張りますので応援よろしくお願いします。うちゅうー!」と横浜の夜空に叫んだ。

 活躍はこれで終わらない。翌3日の同戦でも同点の4回に相手左腕のカイル・マラーのスライダーを右翼席にライナーで突き刺す2試合連続アーチ。2ボール2ストライクと追い込まれ、外角低めのスライダーにタイミングを外されたかに見えたが下半身の粘りでコンタクトする技ありの一撃だった。その後の打席も価値がある。6回は変則左腕・福敬登に2ストライクと追い込まれたがその後はファウルで粘り、7球目のスライダーを見極めて四球で出塁した。

 他球団のスコアラーは「ファームのときから感じていましたが、吉田正尚(レッドソックス)と重なります。フルスイングするけど粗いわけではなく、きっちりコンタクトできる。ボール球に手を出さなくなってきているし、配球に工夫が必要になってくる。勢いに乗せたくない打者ですね」と警戒を口にする。

 強力打線が看板のDeNAだが、今年は盤石と言えない。昨年首位打者に輝いたタイラー・オースティンは打率.211、2本塁打、12打点と打撃の状態が上がらず6月上旬に登録抹消。中軸で期待されたメジャー復帰2年目の筒香嘉智も打率.174、6本塁打、10打点と好調を持続できていない。度会隆輝梶原昂希蝦名達夫も殻を破り切れず外野の定位置をつかみ切れていない。その中で井上の猛アピールはチームを活性化させる明るい材料だ。

歴代12位の四球数


 井上の活躍は独立リーグの選手たちにとっても大きな励みになるだろう。久留米商高、福岡大、四国アイランドリーグplus・徳島を経てドラフト6位で入団したのが23歳。NPB入りの夢になかなか手が届かなかったが、独立リーグ2年目の23年に67試合出場で打率.312、14本塁打、39打点で2年連続本塁打王を獲得し、打点王と最高出塁率(.424)にも輝いた。本職は外野手だが、三塁の守備にも取り組んだことでスカウトの評価を高めた。

 独立リーグ出身の野手で、NPBで活躍している先駆者が角中勝也(ロッテ)だ。四国アイランドリーグの高知から大学生・社会人ドラフト7巡目で入団すると、2度の首位打者を獲得。角中は週刊ベースボールのインタビューで「社会人に行ったら3年、大学に行ったら4年を経ないとNPBには行けない。入団前には2〜3年でプロに行けたら良いと思っていましたけど、高卒1年でロッテに行けたのは本当に良かった。あらためて当時を振り返ると、野球の技術もそうですけど、人として成長させてもらった場所だと思います。高校を卒業して一人の社会人として成長できたのかなと。多分、大学に行っていたらプロにはなれていなかった。四国だったからこそNPBに行けたのだと思っています」と感謝の思いを口にしている。

「四国への恩返しは、ボクがNPBで活躍するのが一番だと考えています。僕やほかの出身者が活躍すれば、四国だけと言わず、ほかの独立リーグ全体の評価が上がるんじゃないかと。スカウトの方にも『使える選手がいるんだ』と浸透してくれると思いますし、もっともっと独立リーグに入団する人も増えるはず。そう思って頑張っています。僕が入る前の05年は育成で2選手がNPBに入って、僕の年も大学・社会人が2人と育成が1人。最初は指名されても下位でしたが、昨年は2位指名もあり、四国のレベルがどんどん上がっている証拠だと思います。本気でNPBを目指す人にとって大学、社会人以外の選択肢が増えたと思いますし、そこは本当にうれしい。もっともっと多くの選手がNPBに入って、その中で活躍する選手が出てきてほしいですね。四国ファンの方には四国も、卒業したプロの選手も応援してもらえれば。卒業生が活躍し、また四国への注目度が上がれば僕としてもうれしいですね」

 井上が存在価値を高めるには、打撃でアピールすることが最も重要な要素になる。チームは首位・阪神に同一カード3連敗を喫して借金2となった。逆襲に向け、救世主になれるか。

写真=BBM
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