左打ちの遊撃手

立大の1年生・長島は長嶋茂雄さんのレリーフの前で緊張の面持ちだった[写真=BBM]
東京六大学野球新人研修が7月6日、早稲田大学国際会議場井深大記念ホールで行われた。参加した6校から約300人の1年生は2つの講話(歴史&部員としての心構え、コンプライアンス)を聞き、グループディスカッションをした後、野球殿堂博物館へ移動し、同館内を見学した。偉大な立大の大先輩・長嶋茂雄さんのレリーフを前にし、決意を新たにした。
「雲の上の存在。『尊敬』という言葉だけでは、片付けられません。あこがれる、というレベルでもないです。長嶋さんと同じように、プレーすることはできない。自分は左打ちですので、自分の武器を磨いていきたいです」
立大の1年生・長島颯(東農大三高)は背筋を伸ばした。6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」の大学の後輩で、同じ名字。立大には、相当な覚悟を持って入学してきた。
長島は右投げ左打ちの遊撃手である。東農大三高(埼玉)では主将を務め、昨夏の埼玉大会は準々決勝に進出。5試合で2本塁打(高校通算6本塁打)を放ち、勝負強さを見せた。
「高校卒業後は、東京六大学で野球を続けたいと思っていました。(東農大三高には)立教の指定校推薦入試の枠があるということで、そこを目指しました。長嶋さんのことを考えて、志望校を決めたわけではありませんが、何かの縁でもあるのかなと、受け止めています」
今春のリーグ戦では、1年生ながら開幕カードの慶大戦からベンチ入り。背番号37を着け、同2回戦で初出場(代打で三振)を遂げると、東大1回戦では初安打が2点適時三塁打となった。東大2回戦でも代打出場した。
春のリーグ戦後、2年生以下で編成されるフレッシュトーナメントでは、長嶋さんが
巨人の選手、監督として着けていた栄光の背番号「3」のタテジマのユニフォームが手渡された。長嶋さんの立大在籍時は、背番号はなし。東京六大学では1959年春から背番号が採用された。明らかに、意図的だったという。
「学生コーチの鈴木輝さん(4年・立教新座高)から『背番号3を着けるべき選手は、お前だろう』と言われたんです。期待を感じました」
六番・遊撃で先発した明大戦は3打数1安打2打点と躍動した。一番・遊撃で先発した東大戦では、サヨナラ打で勝利に貢献。秋のリーグ戦に向けて、貴重な経験を積んだ。
「立教の内野手は『長島しかいない!!』と思われるような、チームを代表となる選手を目指します。春はベンチ入りが4試合でしたので、秋は全試合でのメンバー入りが目標です。すべてのゲームで、何かしらで絡んでいけたらいいと思います」
フレッシュトーナメントで着けた背番号を、いずれは背負いたいという。
「自分が『3』を着けても『そうだろう!!』と周囲が納得するような存在になりたいです。そのためには、信頼が必要です。日々の練習から、懸命に励んでいきたいと思っています」
出場するたび、「ナガシマ君」が
コールされるたび、神宮の杜は盛り上がる。4年間、重い十字架を背負うが、パワーに変えるだけの覚悟がある。言葉の端々に、強い意志を感じた。
文=岡本朋祐