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プロ未勝利も…他球団から「球界を代表する投手になる」絶賛の左腕は

 

7試合の先発で勝利なし


白星に恵まれないが好投を続ける中日のドラフト1位左腕・金丸


 目下4連勝中の中日。2位・巨人に3.5ゲーム差に迫っている。借金7を完済して、上位浮上へ。そのキーマンになるのがドラフト1位左腕の金丸夢斗だ。

 腰痛から回復途上だったため、開幕は二軍スタートに。焦る気持ちを抑え、じっくり調整してきた。5月に一軍昇格すると、「アマチュア球界No.1投手」の看板に偽りなしの投球を見せている。常時150キロ近い直球にスライダー、カットボール、スプリットを織り交ぜて凡打の山を築く。7試合すべての登板で6イニング以上を投げ切り、クオリティースタート(QS、先発が6回以上投げて自責点3位以内)率が85.7%。最大4失点と大崩れせずにゲームを作る能力が非常に高い。だが、プロ初白星がなかなかつかない。象徴的な試合が7月8日の巨人戦(山形)だった。

 1点リードの4回に一死満塁のピンチでトレイ・キャベッジの左犠飛で同点に追いつかれたが、5回にバッテリーを組む同期入団の石伊雄太が勝ち越しのプロ初アーチ。ところが、7回に先頭の泉口友汰に右翼ポール際に同点ソロを浴びた。107球を投げて7回5安打2失点で降板。感情が揺さぶられるドラマはこの後に続く。8回に上林誠知が右翼席への勝ち越しソロ。笑顔を浮かべて三塁ベンチで出迎えた金丸の頭を上林が軽く叩いて労をねぎらった。9回にも追加点を奪い、2点リード。プロ初白星は間違いないと思われたが、まさかの結末が待っていた。守護神・松山晋也がコンディション不良で登録抹消されたことに伴い、登板した清水達也が9回に4本の集中打を浴びて3失点。金丸は悔しさを押し殺した表情を浮かべ、逆転サヨナラ勝利で歓喜にわく巨人ナインを見つめていた。

落ち着いているマウンドさばき


 白星に恵まれていないが、首脳陣の信頼を勝ち取っていることは間違いない。3試合目まではコンディションを考慮して登板間隔を空けての先発が続いていたが、6月以降は中7日、中6日で登板した。他球団のスコアラーは「一番の強みは制球力ですよね。直球に威力があり、投げミスが少ないのでなかなか連打を望めない。マウンドさばきが落ち着いているし、球の質も高い。新人という認識で見ていません。将来は球界を代表する左腕になるでしょう」と分析する。

勝てない日々からはい上がった左腕


 金丸で思い出されるのが、隅田知一郎(西武)だ。同じ大卒の左腕で、ドラフト1位指名の際に4球団が競合したという共通点を持つ。隅田は新人の2022年に試練を味わっている。好投しても打線の援護に恵まれない登板が重なり、パ・リーグ新人で史上初の10連敗を喫した。シーズンを通じて16試合登板で1勝10敗、防御率3.75。だが、ここからはい上がった。翌23年から2年連続で9勝10敗。昨年は179回1/3を投げて自身初の規定投球回をクリアし、防御率2.76は自己最高の数字だった。

 沢村賞を目標に掲げた今年はさらなる進化を遂げている。14試合登板で7勝5敗、防御率1.75。QS率は92.9%と抜群の安定感を誇る。

今季は初の2ケタ勝利も達成間近と好投を続ける隅田


 隅田は週刊ベースボールのインタビューで、アマチュア時代に自分を支えてきたものとして「“なにくそ”という負けず嫌いな性格ですね」、「自然とそういう性格になったと思います。小学生のときから結構、足が速いほうだったんですけど、かけっこでも常に負けたくないと思っていましたから。プロでももちろんそうですよ。マウンドに上がったら絶対に負けたくないと思って投げています」と語っている。プロに入ってもその姿勢はブレない。「長く現役を続けるためには、もっとフィジカルが強くなりたいです。でも、1日1日を成長する気持ちで練習などに取り組んでいるだけなので、どういう投手になりたいとかという気持ちはないです。積み重ねていくだけですから」と強い向上心がステップアップにつながっている。

 金丸はプロの世界で1勝を挙げることがいかに大変なことか、体感している。この壁を乗り越えたとき、大きな自信を手に入れることは間違いない。勝負の夏場でどのような投球を見せてくれるか楽しみだ。

写真=BBM
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