DeNAは再生可能と判断

今季7月18日、横浜市内の球団事務所でDeNA入団会見を行った藤浪
3年ぶりに日本球界復帰を決断した表情は、晴れ晴れとしていた。DeNAに入団した
藤浪晋太郎が7月18日、横浜市内の球団事務所で入団会見に臨んだ。古巣・
阪神と対戦について質問が及んだ際は、「やっぱり楽しみですし、今まで2、3年前まで味方だった選手が敵になるわけで、『頼もしいな』と思った選手が敵になるわけですけど、それはそれで楽しみですし、もちろん全力で抑えていきたいなと思います。甲子園で投げることについては、自分個人としてはすごく楽しみですし、『ブーイングだけされなければいいな』ぐらいの感じで思っております」と語った。
メジャー挑戦3年目となった今年はマリナーズとマイナー契約を結び、春季キャンプに招待選手で参加。オープン戦8試合で防御率5.87とアピールできず、3Aタコマで開幕を迎えた。21試合登板で2勝1敗、防御率5.79で、6月17日に自由契約となった。課題は制球難に尽きる。だが、DeNAはAIを活用したプロジェクトで再生可能と判断。獲得に向けてラブ
コールを送っていた。
大きな懸念点は不安定な救援陣
現時点で起用法は固まっていないが、先発、救援で共に経験を積んでいるだけにどんな役割でも対応ができる。DeNAの大きな懸念点は不安定な救援陣だ。特に抑えが悩みの種になっている。今年は右肩手術から復帰した
入江大生が抜擢され、29試合登板で2勝1敗15セーブ2ホールド、防御率1.65の好成績をマークしていたが、「右上腕の神経障害」で7月12日に登録抹消された。
さらに、31試合登板で防御率0.79と抜群の安定感を誇っていたローワン・ウィックも上半身のコンディション不良で16日にファームへ。通算232セーブの
山崎康晃も6月以降はファーム暮らしが続いている。昨年守護神を務めた
森原康平はコンディションを整えて7月17日に一軍昇格したが、救援陣のコマがそろっていると言えない。藤浪は160キロを超える直球という大きな武器がある。ストライクゾーンに少々甘く入っても球威十分で簡単に連打を食らわないだろう。リリーバーで実績を積み重ねれば、守護神に抜擢される可能性が考えられる。
レジェンドが認める才能
藤浪の才能は誰もが認めていた。昨年まで阪神の監督を務めた
岡田彰布前監督も、その一人だ。22年オフに監督に就任したタイミングで、藤浪がポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を決断したため、同じユニフォームを着てプレーすることは叶わなかったが、週刊ベースボールのコラムで温かいメッセ―ジを送っている。
「オレは不思議に思うことがある。あれだけのピッチングをしていた投手が、どうして勝てなくなったのか。投手のデリケートな部分が左右したのか。詳しくは知らないけど、あれほどのポテンシャル、実にもったいないとずっと思っていたわ。ひとつの解決の方策として『環境を変える』ことも選択肢に入っていたんだろう。阪神という球団の特性というのか、重圧を感じていたに違いないだろうし、環境を変えることでそれを解放する。藤浪の考えの中に、それがあったとしても不思議でない」
「今回の彼のメジャー行きは、実に珍しいケースといえる。メジャーを目指すほとんどの選手は、力のピークのときにメジャーを意識するけど、藤浪は数年間の低迷期の中での挑戦。こんな例はいままでにはないことよ。ということは、さほど期待できない? いや違う。逆の結果が出る可能性は十分にある、とオレは見込んでいる。環境を大きく変え、伸び伸びと向き合えば、あの剛腕は戻ってくる。まだ28歳。日本では尻すぼみだったけど、アメリカで復活する。その可能性は十分過ぎるほどある、とオレは見ている。細かいことを考えなくていい。コントロールは大事だけど、それ以上に重要なのは、藤浪の持つ能力をぶつけること。過去を振り払い、入団したころのような伸びやかなピッチングができれば……。阪神から海を渡り、そこで大きく羽ばたく姿を見てみたい。ホンマ、エールを送るよ」
アメリカで経験した3年間は順風満帆だったわけではない。心が折れかけたことがあったかもしれないが、心身共にタフになったことは間違いない。DeNAのユニフォームを身にまとってどんな投球を見せてくれるか、楽しみだ。
写真=BBM