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【大学野球】早大3連覇の優勝祝賀会 秋は22年ぶり2度目のV4に挑戦

 

「日本一を達成することを期待」


この春、東京六大学リーグ戦で3連覇を遂げた早大・小宮山監督は今秋の「4連覇」を目標に掲げた[写真=BBM]


 2025年で結成100年を迎えた東京六大学リーグ戦で、4連覇は過去に6回(法大3回、明大・立大・早大が各1回)ある。早大は今秋、2002年春から03年秋にかけて達成して以来、22年ぶり2度目のV4に挑戦する。

 7月19日、東京都内のホテルで早大3連覇の優勝祝賀会が開催された。

 今春のリーグ戦、早大は3カード目の立大戦で勝ち点を1勝2敗で落とし、4カード目の明大1回戦も黒星を喫して、3連覇へあとがなくなった。1敗も許されない状況で、2回戦は右腕エース・伊藤樹(4年・仙台育英高)がリーグ史上26度目のノーヒットノーラン。1勝1敗の3回戦を制し、第8週の慶大戦で連勝し、先に日程を終えていた明大と勝ち点4の同率で並んだ。昨秋に続く明大との優勝決定戦を制して、3季連続49度目のリーグ制覇。崖っぷちから早大・小宮山悟監督が言う「怒涛の5連勝」で天皇杯を手にしたのだ。

 祝賀会の冒頭で主催者を代表してあいさつした稲門倶楽部・関口一行会長は「小澤主将(周平、4年・健大高崎高)を中心に、早稲田らしい全員一丸となった野球を展開し、そして粘り強さを発揮して、優勝を勝ち取った戦いは素晴らしかったと思います」と称賛した。

 一方で、全日本大学選手権は準々決勝(対東海大)で敗退したことに触れ「日本一という、もう一つの目標を達成できなかったことは、学生諸君が一番悔しさを感じていると思います。秋のシーズンはこの悔しさをバネに、節目となる50度目の優勝、平成14、15年のシーズン以来となる2度目の4連覇、日本一を達成することを期待します」と話した。

 早稲田大学学生部門統括スポーツ振興担当理事・藤田誠氏は大学を代表して祝辞を述べた。

「記憶にも記録にも残る偉業。小宮山監督、金森(栄治)助監督の献身的なご指導の賜物です。野球、駅伝、ラグビー、サッカーが(早稲田の)4大スポーツということで、スポーツは早稲田の校友、学生の一体感を感じる機会。特に現場の学生にとって、野球の早慶戦は早稲田の一員であることを強く感じる機会と感じます。野球というのはスポーツの域を越えて、早稲田文化の中心にあるということをしみじみと感じています。実績と伝統を踏まえて、ますます活躍することを期待します」

部長が研究室に飾っている1枚の写真


 日野愛郎野球部長は、今春のリーグ戦優勝時の写真1枚を自身の研究室に飾っているという。どんな絵柄なのか。具体的に明かした。

「昨年11月の明治神宮大会初戦(対環太平洋大)を延長10回タイブレークでサヨナラ負け(1対2)を喫し、当時の4年生よりも、3年生以下が涙している姿が印象的でした。早稲田は一塁ベンチで、三塁手の小澤主将が目の前に見えました。人目をはばからず涙を流し、整列していました。この春、優勝の瞬間にチームメートがマウンドに集まる中、小澤主将はその場に立ち止まって、涙を拭ってから、歓喜の輪に加わる姿がありました。そのあと整列して、新人監督の大西君(創志、4年・城北高)と抱き合う姿が印象的。それを後ろから見守っている小宮山監督、人知れず、光るもの拭っている金森助監督。目頭を熱くして、それを見ている北嶋主務(晴輝、4年・早稲田佐賀高)。その写真は、私の宝物です」

 日野部長は、歴史にも造詣が深い。史実を現在に置き換えて、分かりやすく説明した。

「今年は東京六大学野球連盟が発足して100年ですが、同時に勝ち点制が始まってから120年になります。1905年秋。早稲田は第1回渡米から帰国し、意気揚揚と慶大戦を迎えましたが、0対5という完敗で1回戦を落としています。2回戦は1対0。3回戦は延長11回、3対2で制して初の勝ち点を手にするわけですが、今回の明治戦も1回戦を落としてから、2回戦は伊藤投手の1対0のノーヒットノーラン、3回戦は延長10回の接戦を制し、偶然かもしれませんが、同じことを成し遂げた。120年の歴史の中で早稲田大学野球部が見守られ今回、勝ち点を取って優勝することができた。初戦を落としてから連勝という2019年秋を最後に成し遂げられなかったことを一つ乗り越えた。(8回コールド敗退を喫した)全日本大学選手権では、まだまだこのチームは伸びシロがあると経験できました」

乾杯は稲門体育会・河野洋平会長が務め、横には主将・小澤[左]が控えた[写真=BBM]


 小宮山監督は学生の頑張りを称えた。

「過去に(3連覇は)森茂雄監督(1950年春〜51年春)、野村(徹)さんで4連覇、應武(篤良)監督(2006年秋〜07年秋)以来の偉業を達成したということで、学生たちを誇りに思います。さらに言えば、3連覇の前に(春秋)連覇を達成したその当時の主将・印出(太一、三菱重工East)が(ステージから見て)真ん中で目立つように立っています。彼がいなければ3連覇はなかった。敬意を表したい」

 勝負師は、叱咤激励も忘れなかった。

「春勝ちました。春に勝って、秋に勝てないわけがない。人間というのは、おかしなもので、一度経験すると、同じようなことを何度も経験したくなるもの。彼らには『3の次は4』と言い放っていますので、ぜひまた、秋に皆さんの前で(4連覇の)報告ができるように、この夏、彼らは(8月の新潟・南魚沼キャンプで)死に物狂いで頑張ると思います」

 指揮官からの熱きメッセージを受けて、主将・小澤は「この夏、南魚沼キャンプがありますので、小宮山監督が言っていたように厳しい練習をし、体と心を鍛えて、もう一度、この祝勝会を開催していただけるように、もう一回、頑張っていきます。ご指導、ご声援のほど、よろしくお願いいたします」と一礼した。

部員一人ひとりがあいさつ


V3の原動力となった4年生エース・伊藤樹は壇上で「4連覇の立役者となれるように頑張ります!!」と語った[写真=BBM]


 この日は選手、マネジャー、裏方を含めて学生59人が出席。壇上では、部員一人ひとりがマイクを持ち、あいさつする時間が設けられた。この日は4年生全員に加え、登録選手の3年生以下が出席。壇上に立った部員全員がマイクを持ち約20分間、感謝の言葉を述べた。中心選手以外にも話す機会がある、珍しいシーンだ。WASEDAのユニフォームを着た選手が一生懸命、プレーするのは当たり前。メンバー外の所作にチーム本来の姿が見える。

 学生の控え選手、スタッフの発言に注目した。控え選手は最後の最後まで、WASEDAのユニフォームを手にするため、努力する。

「まだ入部してから見たことがない、日本一という景色を見られるように、チームのメンバーと一緒に頑張って、貢献していきたいと思います」(齋藤成輝、4年・早大本庄高)

「50度目のリーグ優勝。日本一という最高の景色を、ここにいる最高の4年生たちと迎えられるように頑張ります」(森田丈士、4年・土佐塾高)

「4年生全員が後悔なく、大学野球を終えられるように、学生コーチとしての役割を全うしたいと思います」(中島稜太、4年・桐朋高)

「いつも応援してくださる皆さんと、このように直接、お会いすることができ、とてもうれしいです。皆さまのおかげで、3連覇を達成することができましたが、未熟な面が多いのも事実です。強いマネジャー陣をつくり、強いチームにできるように、引き続き頑張ります」(成瀬かおり、4年・千種高)

 約2時間の祝宴は、あっという間である。結びは稲門倶楽部・阿部慎史副会長が述べた。まずは歴史を紹介した。

「早稲田大学野球部は常に勝つことを期待されています。(初代監督の)飛田穂洲先生が第5代主将だった1910年、シカゴ大学が来日して大敗を喫しました。そのときのバッシングは大変なものだったと聞いております。主将を辞任するところまで追い込まれ、飛田先生を含む4人の学生が退部(引退)しました。今はそのようなバッシングはないにしても、早稲田大学野球部はいつも期待されている。それは、今も昔も変わりません」

 そして、こう続けた。

「来年、早稲田大学野球部は創部125周年を迎えます。まずその前に、4連覇という大変な偉業がかかっている4年生には、引き続き大変な重圧がかかっているかと思います。この4連覇を達成した後の来年の4年生は、5連覇というもっと重たい重圧がかかる。100年の東京六大学の歴史の中でも、1校も成し遂げていない大変な偉業です。そのような重圧の中で、選手諸君は日々、鍛錬を積んでくれると思っています」

 叱咤激励だけではない。本質を掘り下げた。

「一方で、選手諸君にはこのような期待、重圧をあまり気にせずに、勝ち負けだけにこだわり過ぎることなく、部訓にもありますように『練習常善』。日々、全力で最善を尽くすこと。そして、早稲田アスリートプログラムにもありますように、学生の本分でもある学業にもしっかりと取り組んでいただいて、模範的な学生である姿を示してもらいたいと思っております。それこそが、(初代野球部長の)安部磯雄先生が(明治34年、1901年の)創部以来、野球部員に求めた姿だと思います」

 勝負に挑む以上、勝つことを目標としていくが、学生野球の目的は「人間形成」。強さだけでなく、スポーツ選手として必要な資質を追い求める。学生たちは、先輩の言葉に熱心に耳を傾け、学びを得る貴重な場となった。

文=岡本朋祐
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