週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

出塁率4割超え…巨人の若手成長株に「糸井嘉男と重なる」期待の声が

 

プロ初の猛打賞


今季ドラフト3位で巨人に入団した荒巻


 前半戦を借金2位の3位で終えた巨人。大黒柱の岡本和真が左肘靭帯損傷からの復帰を目指す中、一塁と三塁のレギュラーが固まっていない状況だ。増田陸坂本勇人リチャード門脇誠などライバルは多いが、自慢の強打でチャンスをつかめるか。ドラフト3位で入団したルーキー・荒巻悠に掛かる期待は大きい。

 開幕を二軍で迎え、4月15日に一軍昇格したが11打数2安打と結果を残せず、1週間も経たずに登録抹消に。同月29日の二軍戦で守備の際に右手中指を骨折してリハビリから再スタートを切った。6月5日に三軍で実戦復帰後は、ファームで快音を響かせて同月19日に再昇格。代打で安打を積み重ねて首脳陣の信頼を得ると、「七番・一塁」でスタメン起用された7月9日の中日戦(福島)で強烈な活躍を見せる。2回に高橋宏斗のカットボールを右翼席に運ぶプロ初アーチ。同学年の球界を代表する右腕から先制弾を放ち、スタンドから大歓声が注がれた。さらに、4回に高橋宏の直球をはじき返して中前打、6回にフルカウントから左腕・斎藤綱記のスライダーをとらえて右前打を放ちプロ初の猛打賞。8回も四球を選んで全打席に出塁した。試合は逆転負けを喫したが、存在をアピールした。

際立つ抜群のミート力


 前半戦を終えて21試合出場で打率.310、1本塁打、1打点。選球眼の良さも光り、出塁率.408を記録していることも評価できる。他球団のスコアラーは「フルスイングから強烈な打球が注目されますが、ミート能力が高い。タイミングを外されても右足を着地した後に下半身で粘れるんですよね。フォークやスプリットなど縦に落ちる球をきっちり見極めるので、ボール球を空振りするケースが少ない。打撃スタイルが糸井嘉男さんと重なります」と分析する。

 糸井氏は現役時代に日本ハムオリックス阪神でプレー。並外れた身体能力を武器にNPB史上初の6年連続「打率3割、20盗塁、ゴールデングラブ賞」を達成し、首位打者、盗塁王を獲得したほか、最高出塁率も3度輝いている。

 順風満帆な歩みだったわけではない。近大から自由獲得枠で投手として入団したが伸び悩み、入団3年目の2006年4月に野手に転向した。当時の高田繁GMから「ピッチャーとしてはダメだよ」と通告されたという。糸井氏は週刊ベースボールのインタビューで当時を振り返っている。

「昨日のように覚えていますよ、ハハハハ、ハイ。『糸井君、使えないよ、ハハハハ』という感じでしたよ(笑)。悔しさと同時にこのままだとプロ野球選手じゃなくなるな、と本気でこのときに思いました。このままやったらヤバイ、と。高田さんは笑って言われましたけど、本気で僕のことを思って言ってくれているのが分かりましたし、野手という活路を見いだしてくれたのも高田さんですから。高田さんの中に『糸井=野手』という選択肢がなかったら、今の僕はないですから。野球人生は本当にそこで終わっていたかもしれません」

現役最後まで危機感


投手から打者に転向して大成した糸井


 野手として再スタートを切り、外野の定位置をつかむためにバットを振り込んだ。危機感は現役生活の最後まで持ち続けていたという。

「それは最後の試合までの毎日、その思いの繰り返しですよ。そのときだけではないです。本当に絶望のような凡打を繰り返し、練習をして、練習をして……その繰り返しで徐々に対応できるようになっていった、という感じですね」、「プロ野球選手であれば、ピッチャーへの対応は、常に繰り返し、繰り返しやっていく。二軍から一軍は、まったく違いますし、一軍に定着したら、毎年対戦する投手に対応しなければいけないですしね。終わりはないです」

 粗削りだがスケールの大きい荒巻は大きな可能性を秘めている。1年目から定位置をつかめるか。クリーンアップの有力候補であることは間違いない。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング