昨年の不振から復調

二番に入り、阪神打線の“潤滑油”となっている中野
2年ぶりの優勝に向かって阪神が驀進中だ。7月30日現在(以下、同)、2位・
巨人に11ゲーム差の首位。貯金は22を数え、早くも優勝マジック「39」が点灯と独走劇を繰り広げている。
321得点はリーグトップ、201失点はリーグ最少で得失点差は120。巨人は-7、3位・
DeNAは1、4位・
中日は-37、5位・
広島は-21、6位・
ヤクルトは-93だから阪神の投打における安定感は際立っている。
打線で言えば三番・
森下翔太が16本塁打、60打点、四番・
佐藤輝明が26本塁打、65打点をマーク。両部門でタイトルを争っている2人が目立っているが、私は今年阪神打線が好調をキープできているのは二番・
中野拓夢の存在があるからだと思っている。
阪神が
岡田彰布監督の下で日本一に輝いた2023年、中野は164安打を放ってタイトルに輝いた。しかし昨年、中野は長打を増やすことを目論んだのか、打球に角度をつけるような打撃にスタイルを変えた。スイング軌道がアッパー気味になったわけだが、強い打球を打とうという意識が働き過ぎたのがマイナスになった。打つ際に左肩が下がり過ぎ、コンタクト率が悪化。特に高めのボールに対して凡フライが増え、打率.232と自身ワーストの数字に終わった。
それを反省したのか、今年は23年の打撃に戻してコンパクトなスイングに。ここまでリーグ4位の打率.2848と数字が改善している。
阪神は一番を打つ
近本光司も出塁率.352を誇り、リーグトップの24盗塁をマーク。二番を打つ中野は近本が一塁にいる際、打撃に制約がかかるが、それにもうまく対応している。自由に打てる打席が少ない中での高打率は非常に素晴らしい。
走者がいない状況で打席に立てば、塁に出ることを考える。7月30日の広島戦(甲子園)でも6回、先頭で打席に入ると四球で出塁。貴重な2点目につなげている。実に二番らしい二番。とにかく中野が二番にいることで、阪神打線につながりが生まれる。走者がいる状況で森下、佐藤輝に打席が多く回ることになるから、必然的にチームの得点が増えていく。
中野が二番で復調しなければ、阪神打線もここまで多くの得点を積み重ねることはできなかっただろう。背番号51が陰のMVPと言っても過言ではない。
写真=BBM