「代表漏れ」が原動力

早大の一番打者・尾瀬は大学卒業後の進路を「プロ一本」に定め、ラストシーズンの秋にかける[写真=BBM]
この秋、大学として2度目の東京六大学リーグ4連覇を狙う早大は8月4日から17日まで新潟県南魚沼市内の「ベーマガスタジアム」でキャンプを行う。野球漬けの約2週間だ。
夏を制する者は秋を制す――。並々ならぬ決意でキャンプ地に向かうのは不動の一番打者・尾瀬雄大(4年・帝京高)である。
7月19日の優勝祝賀会では約300人の出席者を前にして「秋はもう一度、首位打者を取って、4連覇に導きたいと思います」と、3年春以来のタイトル奪取を宣言していた。
左のヒットメーカー・尾瀬は1年春から出場し、リーグ戦初安打を放ったが、秋はノーヒット。2年春から中堅の定位置をつかみ、今春までに90安打を積み上げた。実質、5シーズンで89安打であるから驚異の量産ぶりだ。
通算打率は.350。歴代1位である早大の先輩・
岡田彰布の打率.379を目指していたが、仮に尾瀬がキャリアハイの3年春の数字(48打数23安打)をマークしても届かない。記録更新は極めて厳しい状況となった。
もう一つの目標があった。こちらも岡田先輩が持つ早大記録(117安打)の更新。こちらも難しくなったが、早大2位の
鳥谷敬(115安打)、同3位の石井藤吉郎(114安打)、同4位の
谷沢健一(111安打)、同5位の
上本博紀(109安打)とおり、見逃せない秋となる。
尾瀬は現実的な数字として「打率4割。20安打」と目標を設定している。
チームのV4に貢献した上で、自身の進路がかかった大事な秋である。
「プロしか考えていません。プロに入って長く活躍する。そのための練習を積んでいます」
「代表漏れ」が原動力となっている。尾瀬は昨年12月、侍ジャパン大学代表候補強化合宿(松山)に招集されたが、今年6月の最終選考合宿(平塚)には呼ばれなかった。
「神宮球場で行われた日米大学選手権第5戦を、野球部として、一塁側応援席で観戦したんですが、悔しさが倍増しました。この秋は早稲田のために活躍して、その無念を晴らしたいです。まずは覚悟を持って、夏の南魚沼キャンプ期間を過ごしたいと思います」
約2週間の生活拠点となるのは、冬場はスキーのロッジとして使用される宿泊施設だ。目の前のゲレンデは、一面が芝生となっている。選手たちは夕食後、個々で汗を流す。尾瀬は自主練習を単独で行うのがポリシー。夕闇の中で、納得するまでスイングを繰り返す。練習量は誰にも負けない。「プロ一本」。退路を断ち、学生野球ラストシーズンに臨む。
文=岡本朋祐