夏場に調子が上昇

8月2日のヤクルト戦で8回にダメ押しの適時打を放った大山
阪神が2年ぶりのリーグ優勝に向け、突き進んでいる。8月2日のヤクルト戦(神宮)で5対1と快勝し、貯金は今季最多の23に。優勝マジックが再点灯して35になった。
この試合では六番の
小幡竜平が2発の本塁打、八番の
高寺望夢も2回に2号ソロと伏兵たちが一発を放ち、四番の
佐藤輝明も4回に自己最多の27号ソロを左翼席へたたきこんだ。計4発のド派手なアーチが目立ったが、勝負を決定づける五番・
大山悠輔の一打も効果的だった。8回一死三塁で佐藤輝が申告敬遠された後に回ってきた打席で、
木澤尚文の内角をえぐるシュートに詰まりながらも右前に運ぶ適時打。再び4点差に突き放す一打で49打点目となり、
牧秀悟(
DeNA)に並ぶ3位に浮上した。リーグ2位の得点圏打率.361と勝負強さが目立つ。他球団のスコアラーは「大山が控えているので、佐藤輝明を簡単に歩かせられない。気温の上昇と共に調子を上げてきているので本当に厄介です」と警戒を口にする。
いろいろなものを「受け止める」
リーグ優勝、日本一を飾った2年前の2023年。このシーズンは全試合で四番に座り、打率.288、19本塁打、78打点をマークした。99四球はリーグ最多で、最高出塁率(.403)のタイトルを獲得している。昨オフはFA権を行使し、阪神に残留を決断。
藤川球児監督が就任して新体制になった今季は五番を託された。クリーンアップを打つ三番・
森下翔太、四番・佐藤輝を援護射撃する役割は非常に重要だ。今年2月に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っていた。
「気負うっていうより、いろいろなものを『受け止めないといけない』と思っているんです。今年に関して言えば、五番を打つ可能性が高い。テル(佐藤輝明)、森下(森下翔太)が三、四番に入るので、彼らには楽に気負いなく打席に立ってもらうために、五番がしっかりしないといけないと思っていますし、成績も残さないといけない。長いシーズン、チームが悪いときは必ずあります。そのときに批判が2人に集中しないように……。僕が非難を受け止める存在になりたいな、と思っています。これまで僕が、先輩方にそうしてもらったように」
「僕がチームのことを誰よりも考えておけば、2人が好きなように打てると思うので、状況、状況で何がベストなのかを考えるために視野を広く持っておくことが大事。まだまだ、2人には責任を背負ってほしくないですから」
打席での明確な意図
まさに有言実行だ。三冠王を狙える位置につける佐藤輝が勝負を避けられても、大山がきっちり仕事をする。7月は月間打率.346、1本塁打、18打点。同月29日の
広島戦(甲子園)では初回二死一、二塁の好機で
床田寛樹のツーシームを左前に運ぶ適時打。1対0の投手戦を制し、この一打が決勝打となった。翌30日も8回無死一、三塁で
松本竜也のカットボールを三遊間にはじき返すダメ押しの適時打。自己最長タイの5試合連続打点を記録した。
佐藤輝がリーグトップの27本塁打、森下がリーグ2位タイの16本塁打をマークしているなか、大山は5本塁打。20年に自己最多の28本塁打で
岡本和真(
巨人)とタイトル争いを繰り広げたことを考えると少なく感じるが、今年は打席で明確な意図がある。
「大事になるのが打点だと思うんです。(藤川球児)監督からも『打点を意識してほしい』と言われています。一、二番は足が速いですが、テルも森下も足が速いので、そこでいろいろな攻撃パターンが増えてくると思うんです。だからこそ、さまざまなことをやりたい。彼らの足の速さがあるからこそ、ゴロでも浅いフライでもホームにかえってきてくれる。その安心感が僕の打撃にも大きく影響していますし、そこをプラスにして自分の中の幅を広げていきたいですね」
「打点はチームの勝利に直結しますから。多く稼げば稼ぐほど、チームの勝利に貢献できます。大量得点となれば、休める投手も出てきて、それがシーズンを通して、いい循環になります。これこそが僕の仕事かな、と思っています。ただ、僕は中距離打者。今までホームランを狙って力んでいたので、今年は丁寧に、丁寧にセンター方向を目標に打ちたいな、というのが僕の1年間のテーマです」
フォア・ザ・チームの精神を徹底している大山が五番に座る阪神は強い。
写真=BBM