グラウンドティーチャー

開会式で審判委員は三塁側に並んだ。午前9時開始の昨夏までは一塁側も、今年は初の夕方開催で、日陰となる一塁側には合唱・吹奏楽の生徒らが配置された[写真=田中慎一郎]
【第107回全国高等学校野球選手権大会】
8月5日 開会式
阪神甲子園球場
ゲームを
ジャッジするアンパイアなくして、大会運営は成り立たない。甲子園の「熱中症対策」は、選手だけではない。グラウンド上で一緒にゲームメークしていく審判委員は、昨夏から塁審が白
シューズとなった。今夏からは球審も白シューズ、さらに、帽子は球審、塁審とも紺だったのが、白に変更となった。
初めて夕方4時から行われた開会式は、日陰となる一塁側に司会者や合唱・吹奏楽の生徒ら、三塁側に審判団らが整列。昨夏までとは一、三塁が逆に配置された。
45人の審判委員は、3列横隊で並んだ。白い帽子と白いシューズは爽やかな印象を受けた。
約40分の開会式中、微動だにしない。出場49校の入場行進では、他の大会関係者は行進曲に合わせて手拍子するが、審判委員は直立不動。選手たちが目の前で、足をそろえて歩みを進める中で、雄姿をじっと見守っていた。
なお、今大会は審判委員に同意を得た上で、体表温と心拍数、運動量を測定するセンサーを計43試合で着用。データを収集し、当日の気温や暑さ指数、本人の自覚症状などを照らし合わせ、どのようなケースで体温の変化が起こるかを分析していく。その結果を今後の甲子園大会や地方大会における審判委員、さらには、選手の熱中症予防に生かすという。
繰り返しになるが、審判委員の一つひとつの判定なくして、ゲームは成立しない。学生野球においては「グラウンドティーチャー」と呼ばれる。単に試合を進行するだけでなく、高校球児の「指導者、教育者」としての役割も担っているからだ。「審判員」ではなく「審判委員」という大会役員名からも、「教育の一貫」である意図が伝わる。審判委員は両校とコミュニケーションを重ねながら、1球1球に集中し、夢舞台・甲子園をともにつくり上げる。1回戦から決勝まで計48試合。表に出てくる審判委員だけでなく、目の前の1試合には、多くの大会関係者がかかわっている。
文=岡本朋祐