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高校時代は同級生に近藤健介 海外で武者修行積んだ「巨人のカンフル剤」は

 

入団テストで勝ち取った合格


今季途中に巨人へ入団した乙坂


 首位・阪神に12ゲームの大差をつけられている2位・巨人の起爆剤になれるか。海外での武者修行を経て、シーズン途中に加入した乙坂智に掛かる期待は大きい。

 横浜高では同学年の近藤健介(ソフトバンク)と共に中心選手となり、3年春夏に甲子園出場。DeNAにドラフト5位で入団し、10年間プレーしたが外野の定位置をつかむことはできなかった。2021年に戦力外通告を受けたが、ここからはい上がる。翌22年からメキシコ、米国の独立リーグなどでプレー。今年5月にマリナーズとマイナー契約を結び、6月28日に退団したが、7月11日に巨人の入団テストを受けて合格を勝ち取った。

 31歳の中距離打者を獲得することに、ファンの間で賛否両論の意見があったことは確かだ。だが、乙坂は覚悟しているだろう。培われたハングリー精神は誰にも負けない。自分の意識の甘さに気づかされたのは、DeNA時代の17年オフに初めてメキシコのウインター・リーグに参加したときだった。

「ロースターの確約がないとっても、遠くからはるばる来たんだから試合には出してくれるだろう、なんて思っていたんですよ。正直、メキシコに行く前は、メジャー・リーガーなんかが地元のチームでオフシーズンに楽しくやってるんだろなっていうイメージでした。しかし、実際にチームに合流してみて、レベルはかなり高いことが分かりました。ここでレギュラーを張ってる選手は、みんな日本でも十分に一軍レギュラーで通用すると思いました」

海外で武者修行の日々


 規定打席に到達しなかったがウインター・リーグで115打席に立ち、リーグの首位打者を上回る打率.410をマーク。覚醒のきっかけは、打撃コーチだったランドール・サイモンの存在が大きい。元メジャー・リーガーで05年にオリックスでプレーした経験を持つ。

「こっちに来て最初のバス移動で、『そこはお前の場所じゃないよ』とサイモンコーチに席を変えられたんです。それで、最初は『なんだコイツ?』って思ったんですけど。日本でプレーしていたと聞いたので、『来年は活躍したいからバッティング教えてください』と早出特打ちを申し出たんです」

 外国人特有の球質の重さに対応するため日本より体に近いミートポイントに引き付けてインパクトを強くする新打法を磨いた。

「うまくは言えないんですけど、いままでモヤモヤしていた部分で、『俺、やっぱり正しいんだ』と感じることはありました。正解を追い求めていくんですけど、正解なんてない。今、とにかく一生懸命やらないといけないということがメキシコに行って分かりました。あとは、シーズンに向けて確率を上げていく作業を沖縄のキャンプでしていきたいですね。野球は相手があるスポーツですから」と振り返っている。

過酷な世界を経て


 メキシカンリーグ、米国の独立リーグは過酷な世界だ。結果を出せなかった選手は翌日にロッカーで荷物をまとめてチームを去るのが日常の風景だった。異国の世界に身を置かなければ、得られない経験がある。乙坂は毎打席、毎試合が勝負だった。その戦いは日本球界に復帰した現在も変わらない。巨人と契約を結び、推定年俸は420万円。日本球界復帰で再スタートを切った。

 新天地デビューは、7月29日の中日戦(バンテリン)。9回に代打で登場し、マルテのスライダーを捉えたが中飛に終わった。21年5月27日のオリックス戦(横浜)以来、NPBで4年ぶりの試合出場だった。その後も代打で3試合連続出場したがまだ安打は出ていない。

 巨人の外野陣を見ると、丸佳浩、佐々木俊輔、キャベッジに加え、「左大腿二頭筋筋損傷」から戦列復帰した若林楽人が、途中出場した8月3日のDeNA戦(東京ドーム)でサヨナラ打を放つなど存在をアピールしている。一軍で居場所を作るためには乙坂も結果で示さなければいけない。ハイレベルな競争がチーム力の底上げにつながる。名門球団でサクセスストーリーを描けるか。

写真=BBM
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