安定したピッチング

今季途中、阪神に入団したドリス。リリーフとしてチームの勝利に貢献する
阪神の救援陣は層が厚い。その中で重要な場面で起用されているのが、信頼の証しと言える。リリーバーで奮闘しているのが、シーズン途中に加入した
ラファエル・ドリスだ。
8月9日の
ヤクルト戦(京セラドーム)では、先発のジョン・デュプランティエが5回2失点(自責点1)ときっちり試合をつくると、同点の6回にドリスがマウンドに上がった。先頭打者の
長岡秀樹にスプリットを中前に運ばれたが、
内山壮真をスプリット、
村上宗隆をスライダーで連続空振り三振。
ホセ・オスナに四球を与えたが、
山田哲人をスプリットで三ゴロに仕留めて無失点に切り抜けた。復帰後初ホールドをマーク。5試合登板で失点したのは7日の
中日戦(バンテリン)のみで、防御率1.93と安定している。
以前は守護神として活躍
首位を独走している中、阪神が支配下70人の最後の枠で獲得したのがドリスだった。2019年の阪神退団後にブルージェイズ、ホワイトソックス傘下、メキシカン・リーグを経て、昨年は四国IL/高知に所属。阪神でプレーした選手が他のプロ球団を経て復帰するのは16年の
藤川球児(阪神現監督)以来9年ぶりで、外国人選手では初のケースだった。
かつて、阪神の守護神で輝いていたときは来日4年間で96セーブをマーク。17年に37セーブをマークし、タイトルを獲得している。最速164キロの直球と落差の大きいスプリットで相手をねじ伏せる投球スタイルだった。37歳となった現在は直球の球速が常時150キロ前後と全盛期より落ちたが、スプリットに加えてスライダー、ツーシームを織り交ぜてアウトを重ねる。
今年のシーズン途中に各球団が乗り出した補強では、共に阪神を巣立ってメジャー挑戦した
藤浪晋太郎が
DeNA、
青柳晃洋がヤクルトに入団して話題になったが、ドリスも大きなプラスアルファになる可能性を秘めている。他球団のコーチは「効果的な補強だと思いますよ。日本の野球を熟知していますし、直球の球速は落ちましたが打者を抑える術を知っている。登板を重ねて尻上がりによくなっていくでしょう。攻略が難しいことは間違いない」と警戒を口にする。
藤川監督と強い絆
藤川監督とは強い絆で結ばれている。13年はカブス、16〜19年は年阪神でチームメートとしてプレーした。今回は選手と監督で3度目のタッグを組むことになる。昨年に在籍した高知も藤川監督が阪神に復帰前に所属した球団だった。ドリスは以前に阪神に在籍していた18年のシーズン前に、セットアッパーの
マルコス・マテオと行った週刊ベースボールの対談企画で、藤川監督に対する感謝の念を語っている。
「フジと最初に会ったときはアメリカだった。どのメジャーのレベルだったかは覚えていないけどね。そのときに僕は日本に興味があったから、日本で投げられる機会が作れるか聞いたんだ。そうしたら『君はいい球を投げるし、力強いボールだから日本でチャンスをつかめるよ』と言ってもらった。それで日本に行きたいと思った」
「フジも日本に帰ったという話を聞いた中で、僕はタイガースに入団が決まった。そして日本に来てみたらフジが同じチームだったんだ。“まさか”だったけど、うれしかったね。今もグラウンド内外で助けてもらっているよ。人間として尊敬できる人。あとは、年齢の上下関係が日本にはあるから、フジにもそうしようと思ったんだけど『しなくていいよ。仲良くしよう』と言ってもらったのもすごく記憶に残っているんだ。フジのおかげで、一つになれているからこそ、僕らはチームに貢献できていると感じているんだ」
ドリスは阪神への愛着が強い。この対談の中でも「タイガースが一番いいから、よそには行きたくないよ。タイガースといってもメジャーでも、ドミニカでもないよ。阪神だよ」と熱い思いを口にしていた。藤川監督の下で、阪神に復帰してプレーできるのはこの上ない喜びだろう。
ちなみに、来日通算96セーブは球団の外国人最多記録となっている。100セーブに到達すると、1993年の
大野豊(
広島)の37歳7カ月を更新するNPB最年長記録になる。今年の阪神は疲労を考慮してリリーバーを起用しているため、ドリスが9回を託される可能性が考えられる。だが、本人は節目の個人記録に興味がないかもしれない。阪神のリーグ優勝、日本一に向けて神経を集中させる。
写真=BBM