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背水の陣から復活 中日が逆転でCS進出に不可欠な「36歳左腕」は

 

3年ぶりの完投勝利もマーク


今季は安定したピッチングを続けている大野


 30代後半になっても輝きを放つ選手はごく一握りだ。思い描いたパフォーマンスを発揮できなくなり、若返りの波にのまれてしまうケースが少なくない。その中で、見事な復活劇を遂げたのが中日大野雄大だ。

 7月4日のヤクルト戦(バンテリン)では、8回まで84球を投げて無失点。9回一死二、三塁のピンチをつくり、ホセ・オスナの打席で足がつったため降板したが、次回登板となった12日の広島戦(バンテリン)で見事に最後まで投げ切った。8回まで89球を投げて二塁すら踏ませない快投。9回に小園海斗に適時二塁打を許して完封勝利は逃したが、後続を抑えて3年ぶりの完投勝利を飾った。シーズン82試合目で最後まで投げ切り、白星をつけた先発投手はチーム初だった。

 効果的に作用しているのが、カットボールだ。直球とツーシームのイメージが強かったが、「第3の球種」の配分を増やしたことで投球の幅が広がっている。今季は右打者に対戦打率.206。打者目線で見ると、内角に食い込むカットボールと外に逃げるツーシームの見極めが難しい

 8月5日の阪神戦(バンテリン)でも6回3安打無失点。白星はならなかったが、首位を走る相手の強力打線に対して決定打を許さない。最も警戒していた佐藤輝明を3打数無安打と完ぺきに封じた。1回二死二塁のピンチで内角への133キロカットボールで見逃し三振に切り抜けると、3回二死では外角低めの直球で見逃し三振。6回は初球に外角高めのカットボールで二ゴロに打ち取った。投球全体で見ると生命線の制球が定まらなかったが、再三走者を許したが決定打を許さない。今季15試合登板で6勝4敗、防御率2.38。先発ローテーションに欠かせない存在になっている。

2020年には沢村賞


「中日の顔」であることに、異論がないだろう。2013年から3年連続2ケタ勝利を達成。19年には防御率2.58で自身初となるタイトルを獲得すると、新型コロナウイルスの影響で120試合制だった翌20年は11勝6敗、防御率1.82をマークした。6試合連続完投で球団新記録の45イニング連続無失点をマークするなど、タフネスぶりを発揮。148回2/3イニングは2年連続リーグ最多で、10完投、6完封もリーグトップだった。2年連続最優秀防御率のタイトルを獲得、沢村賞にも輝いたが、近年は一軍のマウンドが遠くなっていた。23年は4月に左肘の遊離軟骨除去手術を受けた影響で1試合登板のみ。昨年も9試合登板にとどまり、2勝6敗、防御率4.87とふるわなかった。

今年にかける強い思い


 背水の陣を迎え、今年にかける思いは強かった。昨年11月に週刊ベースボールの取材で以下のように語っている。

「11月にブルペンに入りました。中日屋内練習場で、田島(慎二)新コーチが見守る前で20球。もう36歳ですが、ここ何年も11月には投げていませんでした。10月の秋季練習を終えたら、肩肘を休ませていました。いつも年明けの1月に立ち上げる形でした。最後に11月に投げたのは……2019年です。とはいえ、そのときも『プレミア12』ですから、国際大会を除くと何年ぶりなんやろう。自分でも覚えてないです。個人的には去年の春に左肘にメスを入れて、今年、もう少しやりたかった。体は元気です。オフの間もブルペン入りするかは別としても、強いボールを投げ続けて調整していきたいです」

 最善の準備を尽くして臨んだ今年は、登板を重ねるたびにマウンド上の姿が頼もしく感じる。同学年の「88年世代」は坂本勇人(巨人)、秋山翔吾(広島)、柳田悠岐(ソフトバンク)、宮崎敏郎(DeNA)、田中将大(巨人)、澤村拓一(ロッテ)など球界を代表する選手たちがそろう黄金世代だが、故障や不振で苦しんでいる選手が多い。36歳の大野が復活したことは良い刺激になるだろう。

 もちろん、現状に満足はしていない。真価が問われるのはここからだ。チームは借金9を抱えているが、3位のDeNAに2ゲーム差、2位の巨人に4.5ゲーム差と逆転でのCS進出を目指せる位置につけている。22年から球団史上初の3年連続最下位に沈むなど、悔しいシーズンを過ごしてきた。スタンドに連日詰めかけて大声援を送ってくれるファンのためにも、大野は左腕を振り続ける。

写真=BBM
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