2試合連続完投勝利

日大三のエース・近藤は初戦[2回戦]、3回戦と2試合連続完投。7年ぶりの8強進出を決めた[写真=田中慎一郎]
【第107回全国高等学校野球選手権大会】
8月16日 3回戦
阪神甲子園球場
日大三[西東京]9-4高川学園[山口]
上背は、171センチ。
その体格からは想像できないほどにタフだ。豊橋中央(愛知)との初戦(2回戦)は128球で完投。そして、高川学園(山口)との3回戦でも、日大三のエース・近藤優樹(3年)は123球を投じて最後までマウンドに立ち続けた。
「走る体力はないですが、投げる体力はあるほうだと思います。背番号11の山口(凌我)などには、冗談ぽく『マウンドは譲らないから』と言っています」
高川学園戦でも勝利を呼び込む粘投を見せた右腕は、茶目っ気たっぷりに笑うのだ。
投球練習では、時には1日200球を投げ込むことも。「粘り強くやり続ける強さはある」と自己分析する近藤は、高校入学後もピッチングスタイルを確立するために努力を惜しまなかった。磨かれていった「投げる体力」。同時に、今夏の甲子園でも見せつけている制球力は精度を高めていった。
制球力の良さは「指先の器用さ」がもたらしているという。
「裁縫が得意なわけではないですけど……ユニフォームに背番号を縫い付ける時だけは上手くいきます」
ピンチのマウンドでも見せる笑顔と同様に、近藤はそう言って笑う。
投手としては低い身長も意に介さない。「小さい頃から体は小さかったので、スピードを求めることはなかった」と言う近藤は、父親の「小さいなりに自分の良さを見つけなさい」という言葉も真っすぐに受け入れて、自身のピッチングスタイルを見つけてきた。
「身長が低い分、対戦するバッターは下からボールが来る感覚で、ストレートは『伸びて』見えるのかなあ、と」
指揮官は「近藤のチーム」
130キロ台でもバットを押し込み、そして空振りが取れるストレートは近藤の真骨頂だ。事実、日大三の正捕手である竹中秀明(3年)は「下から伸びてくる」と近藤のピッチングを評する。加えて「近藤は気持ちが強いので、勝負どころでは大胆に攻める」と竹中が証言するように、日大三の「小さなエース」は投手に必要な要素を多く兼ね備える。

日大三・三木監督は「近藤のチーム」と信頼を寄せる[写真=田中慎一郎]
「近藤のチーム」
日大三の三木有造監督がそう断言するほどの信頼感。高川学園戦では10安打を浴びて4点を失ったが、要所は締めてマウンドを守り続けた。
「あまりそう見られないと思いますが、熱い気持ちが……。内に秘めた熱い思い? そうですね。それは持っています」
笑顔の中でも大黒柱としての自覚、たぎる思いを口にする近藤は、8強一番乗りを決めた名門・日大三の揺るぎないエースである。

日大三は9対4で高川学園に快勝した。準々決勝では関東第一[東東京]との15年ぶり[2010年夏の3回戦、関東第一10対6早実]の「東京対決」である[写真=牛島寿人]
文=佐々木亨