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戦列復帰の岡本和真 「三塁固定」か「複数ポジション」起用法に注目が

 

左肘靭帯損傷から復帰


一軍に復帰し、四番として打線を引っ張る岡本和


「特別な日」に、主砲が戻ってきた。左肘靭帯の損傷で戦列を離れていた岡本和真が、長嶋茂雄さんの追悼試合として開催された8月16日の阪神戦(東京ドーム)から一軍復帰。長嶋さんが現役時代に輝いた「四番・三塁」で先発起用された。翌17日の同戦では8回に戦列復帰後初安打となる遊撃内野安打。この試合でプロ野球新記録の40試合連続無失点を達成した石井大智のスライダーを引っ張ると、全力疾走で一塁を駆け抜けて内野安打をもぎ取った。

 5月6日の阪神戦(東京ドーム)で一塁の守備の際に、打者と交錯して左肘を負傷。主砲が3カ月以上離脱した穴はあまりに大きかった。17勝13敗1分けで阪神と並び首位だったが、岡本和不在後は35勝38敗2分けと失速。打線の軸となる四番が固定できず、得点力が低下した。阪神が首位を独走する中、勝率5割前後を行き来する苦しい戦いが続いた。

レジェンド助っ人も高評価


 3度の本塁打王、2度の打点王を獲得した実績を持つ岡本和は球界を代表する強打者だ。メジャー・リーグの各球団の評価も高い中、「球団史上最強の助っ人」の呼び声高いウォーレン・クロマティ氏は自身の打撃理論を週刊ベースボールのコラムで明かした上で、岡本和を高く評価していた。

「今も日本人選手とメジャー・リーガーのスイングはまったく違う。メジャー・リーガーは腰を速く回し(Hip turn=ヒップターン)、体全体を使ったスイングをするが、日本人選手はそれがないか、あっても遅い。ヒップターンはバッティングにおいて、とても大切な要素だ。縦型洗濯機で洗濯物を回しているところを思い浮かべてほしい。洗濯槽内に水流で渦巻をつくり、衣類を回転させて汚れを落とす。この回転が強く、高速になればなるほど、衣類の汚れがよく落ちる。野球のヒップターンも、それに似た横方向の回転だ。日本人選手でも、かつての名選手たちは速いヒップターンをしていた。王貞治(元巨人)さん、山本浩二さん、衣笠祥雄さん(ともに元広島)らがそうだ。落合博満(元ロッテほか)はヒップターンをしなかったが、手のスピードとボールをとらえる目がともに優れていたから、あの成績を残した。イチロー(元オリックスほか)のヒップターンは、とても速かった」

「バッティングでは、足を使うことがとても大切だ。『足を使う』とは、前足を上げるという意味ではなく、ヒップターンの中で両足を使うこと。プロゴルファーが遠くへ飛ばすときのスイングを見ると、分かりやすい。足を使ってヒップターンをすることで、下半身のパワーをボールにしっかりと伝えている。ちなみに日本人選手のバッティングスタイルは、前足を上げ過ぎだと僕は思う。日本人は上半身と背中の力が弱いから、足を高く上げて力をためようとする。それよりも、ヒップターンと手の使い方、バットスピードが大切なんだ。巨人のアドバイザーをしていた2020年、僕は岡本和真にヒップターンの仕方を教えた。彼は速いヒップターンを身に付け、その年、本塁打王、打点王の2冠に輝いた。『クロマティさんはグッド・ティーチャー(いい先生)だね』と言ってくれた岡本和。僕は、『君がグッド・スチューデント(いい生徒)だからだよ』と、彼をたたえた」

高い守備能力


 クロマティ氏が打撃の覚醒をサポートした岡本和は、守備能力も高い。三塁、一塁のほかにチーム事情で左翼を回るケースもあった。注目されるのは今後の起用法だ。

 本職の三塁に固定するか、複数のポジションを守らせるか――。三塁は昨年に遊撃からコンバートされてゴールデン・グラブ賞を受賞した坂本勇人が控える。今年は50試合出場で打率.207、3本塁打、17打点と打撃の調子がなかなか上がってこないが、8月15日の阪神戦(東京ドーム)では、4点差を追いかける6回二死一、三塁の好機に代打で登場すると、左腕の伊藤将司のカットボールを完璧に捉え、左翼スタンド上段に3ラン。代打で9年ぶりのアーチを放って試合の流れを変えると、8回も無死一塁で湯浅京己のカットボールを左前にはじき返してチャンスメーク。決勝点のお膳立てをして逆転勝利に貢献した。

 坂本を三塁で起用する場合は、岡本和が一塁に回る。一塁・リチャード、三塁・坂本、左翼・岡本和の布陣も可能性がある。首位・阪神に13ゲーム差と逆転優勝は厳しくなってきたが、CS進出に向けて負けられない試合が続く。大黒柱をどのように起用するか――。上昇気流になるために大きなポイントになりそうだ。

写真=BBM
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