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ドラ1入団から10年目 背水の陣で防御率0点台「今までと別人」高評価の左腕は

 

首位と直接対決で好投


今季は中継ぎでチームの勝利に貢献している上原


 熾烈な首位争いを繰り広げる日本ハムで、奮闘しているのが上原健太だ。

 8月22日からエスコンFで行われた首位・ソフトバンクとの直接対決で、3試合連続登板。初戦は同点の7回から登板して三者凡退に仕留めると、直後の攻撃で勝ち越して2勝目を挙げた。第2戦は8回二死満塁のピンチでマウンドに上がり、佐藤直樹をフォークで三振に仕留めてホールドを記録。第3戦は先発の伊藤大海が9回まで無失点に抑えた後、延長10回から登板した。二死一、二塁のピンチを招いたが、山川穂高を初球のフォークで三ゴロに仕留めて無失点。チームがサヨナラ勝ちを飾り、3勝目をマークした。上原の活躍でチームは同一カード3連勝を飾った。

背水の陣から生まれ変わって


 背水の陣だった。昨年は7試合登板で0勝5敗、防御率9.24。今年の開幕は二軍で迎えた。先発陣の層が厚いチーム事情もあり、中継ぎに配置転換されたことが大きな転機になる。6月29日に一軍昇格すると、7月以降は17試合連続無失点で防御率0.00と抜群の安定感を誇る。8月20日オリックス戦(エスコンF)では、1点差に迫られた8回一死一、二塁で登板。宗佑磨に中前打を許して満塁のピンチを背負ったが、廣岡大志をフォークで空振り三振、西川龍馬はフルカウントから149キロ直球で遊ゴロに抑えて無失点に抑え、雄叫びを上げた。

 試合後に今季初のお立ち台に上がると、「ちょっとまだ頭が真っ白なので何も考えられないです」と穏やかな表情を浮かべ、西川にフルカウントの場面でスタンドから上原を激励する拍手が起きたことに、「あの拍手は本当に後押しになりました。ここまで皆さんの力が背中を押してくれるのかと、改めて感じた瞬間でした」と感謝の思いを口にした。

 他球団の首脳陣は「今までとは別人。制球が決して良いタイプではないが、救援に回って思い切り腕を振ってストライクゾーンに力強い直球を投げ込んできている。長身(身長191センチ)でパワーピッチャーかというと、変化球もうまく操るんですよね。フォーク、シュート、カットボール、チェンジアップと多彩なので的を絞りにくい。先発の時は一気に崩れる時があったけど、目の前の打者を全力で抑える中継ぎが合っているのかもしれません」と分析する。

中継ぎの役割で覚醒の時


 高い身体能力で打力も評価され、日本ハムに入団時は「投打の二刀流」で活躍を期待された逸材だった。明大では1年春から2年の時に主に中継ぎで春秋連続リーグ制覇に貢献。3年秋は防御率0.96で最優秀防御率のタイトルを獲得した。順風満帆な野球人生だったが、4年になると突如不振に陥った。「自分でもはっきりとした理由は分からなかった。あの4年生の不調さえなければ……とは思いますね。そんなこと言ったらキリがないので、いまとなれば、それはそれでいいかなと考えていますけど」と週刊ベースボールの取材で振り返っている。プロのスカウトの評価は高かったが、本人の思いは違った。

「実は野球をやめる選択肢もありました。ドラフトにかからなかったり、下位で指名されるなら野球とはもう縁がないなと。やめて違うことをしたいなと思っていました。これ以上やってもいい方向には進まないと。何をしたいとかは決まっていなかったですけど、親に頭を下げて卒業後は1年間だけアメリカとかに飛んでもいいかなと。時間をかけて次へ向けての就職活動をしていこうと漠然と考えていました」

 大きな覚悟で臨んだドラフト会議。日本ハムは1位指名で高橋純平(元ソフトバンク)、小笠原慎之介(ナショナルズ)の抽選を外し、「外れ外れ1位」で上原を指名した。「驚きましたし、拾ってくれたんだなと思いました」。

 底知れない潜在能力を評価されたが、なかなか一軍定着できずに月日が流れていく。今年がプロ10年目と結果を出さなければいけない中、中継ぎという役割で覚醒の時を迎えている。首位のソフトバンクと1ゲーム差。シーズンの残り27試合で真価が問われる。

写真=BBM
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