熾烈なタイトル争い

シュアな打撃で巨人打線で欠かせない存在となっている泉口
巨人に不可欠な存在になっているのが、プロ2年目の
泉口友汰だ。
8月は月間打率.323、1本塁打、8打点。広角にヒットを打ち分け、上位打線でチャンスメークしている。「一番・遊撃」でスタメン出場した20日の
ヤクルト戦(神宮)では、1点差を追いかける3回無死満塁の好機に、相手右腕のペドロ・アビラの直球を高めにはじき返す中前適時打。ドラフト同期入団の左腕・
森田駿哉が先発登板した今季の全3試合で適時打を放っている。「三番・遊撃」でスタメン出場した27日の
阪神戦(甲子園)でもチャンスを構築。4回に中前打を放ち、
岸田行倫の中前適時打で先制点の本塁に生還すると、同点に追いつかれた直後の6回に一死から左前打を放ち、一挙3得点を勝ち越す口火を切った。
打率.292はリーグ2位。トップの
小園海斗(
広島)は打率.295、3位の
中野拓夢(阪神)は打率.291で熾烈な首位打者争いを繰り広げている。泉口の魅力は打つだけではない。存在価値を高めているのは選球眼の良さだ。ボール球を振らず、2ストライクに追い込まれてもファウルで粘った後に四球で出塁する打席が目立つ。出塁率.356はリーグ1位の
大山悠輔(阪神)と1厘差の2位。首位打者と最高出塁率を獲得すれば、2016年の
坂本勇人以来球団史上9年ぶりの快挙となる。
シュアな打球でライナー性の打球
ドラフト4位で入団したときは守備の評価が高い選手だった。プロ1年目の昨年は66試合出場で打率.201、1本塁打、9打点。遊撃で出場機会を得られたが、打撃が課題で定位置をつかむまでには至らなかった。危機感が体を突き動かす。オフの自主トレで
岡本和真、
吉川尚輝の自主トレに志願参加。一流の選手と練習することで学ぶことは多い。継続していた肉体強化も実を結ぶ。2月の春季キャンプでは線の細かった体が一回り大きくなり、飛距離が伸びていた。視察した他球団のスコアラーは「泉口は別人のように打球が力強くなっている」が驚くほどだった。
今季は開幕を二軍で迎えたが、4月4日に一軍昇格すると、遊撃のスタメンに定着して安打を積み重ねている。長打力が上がったが、自分の役割を認識している。バットを短く持ってシュアな打撃でライナー性の打球を放つ。甘く入ったら外野の間を射抜く打撃スタイルを徹底した。
エリート街道を歩んで
球界を代表する遊撃として長年活躍してきた坂本は高卒2年目から定位置をつかんだが、泉口は大阪桐蔭、青山学院大、NTT西日本とアマチュア球界のエリート街道を歩んでプロ入りしている。プロ入りは24歳だが、それぞれの環境で培った経験がプレーヤ―としてだけでなく、人間力を高めるうえで大きな財産になっている。8月28日から社会人野球の都市対抗が開幕したが、社会人野球で得た経験について週刊ベースボールの取材で以下のように語っている。
「会社あっての僕ら野球部でしたし、会社に野球をさせていただいていると感じていました。なんとか都市対抗と日本選手権の2大大会で、会社に貢献しようという思いを持っていました。自分のためだけに野球ができない。給料をもらっていますし、勝って会社の名前を広める使命というんですかね。会社を背負ってプレーした経験は自分を成長させてくれたと思います」
「一発勝負のトーナメントが多く、30代の大人が勝って涙、負けて涙を流すような熱さが魅力です。例えばセガサミーさんはパチンコのBGMが流れたりするように、会社によって独自性がある応援も社会人野球ならではだと思います。僕は2022年、23年と都市対抗に出場したのですが、本戦以上に、地区予選に勝ったときの喜びを覚えています。寮でみんなでお祝いして、盛り上がって、最高の思い出ですね」
シーズンは残り24試合。リーグ連覇は厳しい状況となったが、CS進出に向けて貯金を1つでも多く増やしたい。泉口は目の前の試合で結果を出すことに必死で個人成績のことを意識する余裕がないかもしれないが、首位打者や最高出塁率のタイトルを獲得すれば人生が大きく変わる。短期決戦のCSでキーマンであることも間違いない。
写真=BBM