7試合で7本塁打をマーク

バッティングの状態が急上昇している筒香
今、最も怖い打者の一人だろう。最近7試合で7発と本塁打を量産している
DeNA・
筒香嘉智だ。他球団のスコアラーは「体の軸がブレず、速い球をきっちり捉えている。凡打に倒れた打席も、本塁打と紙一重です。今の筒香は
村上宗隆(
ヤクルト)、
佐藤輝明(
阪神)に匹敵するぐらい怖い打者です」と警戒を強める。
日本球界復帰2年目の今年は打撃の状態が上がらず、2度のファーム降格を経験。8月9日終了時点では打率.171、6本塁打、10打点だった。少ないチャンスで結果を出さなければ、スタメンに復帰できない。本人も置かれた立場は分かっている。8月13日のヤクルト戦(神宮)で6回に代打で登場すると、
小澤怜史のチェンジアップを捉えて右翼ポール際に3ラン。この一撃で復調ののろしをあげる。「五番・左翼」で1カ月半ぶりのスタメン出場となった24日の
巨人戦(東京ドーム)で、4回に
赤星優志のフォークをバックスクリーンに運ぶ8号ソロ。打撃不振の理由として、「速い球への対応力」を指摘する声が上がっていたが、その懸念を払拭する。
26日の阪神戦(横浜)。2回に
村上頌樹の148キロ直球を右翼席に運ぶと、圧巻は2打席連続弾となった4回の打席だ。2球で2ストライクと追い込まれたが、相手バッテリーが外した外角高めの147キロ直球を振り抜いた。打った瞬間に本塁打と分かる打球で、右翼手の
森下翔太は一歩も動かずに打球を見送るしかなかった。

8月30日の中日戦では1試合3本塁打を放った
30日の中日戦(横浜)では球界屈指の好投手・
高橋宏斗から2打席連続アーチを放つなど、1試合3本塁打。初回一死一塁でフルカウントから高橋宏の153キロ直球を右中間へ同点2ラン。3回は高めに浮いたスプリットを見逃さず右翼席に叩き込んだ。これで終わらない。延長11回には
梅野雄吾の150キロ直球を右中間へこの試合3本目のアーチを放ち、横浜スタジアムから歓声が鳴りやまなかった。試合に敗れたため笑顔がなかったが、1試合3本塁打は2018年5月20日の巨人戦(東京ドーム)以来7年ぶりの快挙だった
昨年4月6年ぶりに古巣復帰
MLBのジャイアンツ傘下のマイナーを退団。昨年4月に6年ぶりに古巣に復帰し、チームの変化を肌で感じた。週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っている。
「チームとしてはもちろん取り組みというのも年々変わってきてますし、僕が以前いたときとは違うものがあったと思います。フロントを含めて、僕がいたときよりも優勝に向けてより一層、強い思いを持っていました。チーム全体にそれをすごく感じましたし、選手自身も僕が以前いたときに若手だった選手が経験を重ねて中堅、ベテランになってきて、チームのことをすごく考えるようになってくれていたのは頼もしかったです」。
「より一層、リーグ優勝したいという思いが強くなったと思います。僕が若いときは、キャンプでは個人個人が自分のやるべきことをただやっているという、そんなイメージがありました。だけど今年を見ていると、よりチームをすごく意識するようになってきて、だんだん良いチームになってきてるんじゃないかなと思います」
実力をバットで証明
メジャーと日本ではタイミングの取り方など打席でのアプローチが、まったく違ってくる。シーズン途中での復帰だったため、アジャストするのに試行錯誤を繰り返した。レギュラーシーズンは57試合で打率.188、7本塁打、23打点。個人的に満足できる数字ではなかったが、
ソフトバンクと対戦した日本シリーズで「打席の感覚が本当に良くなってきた」と光が見えた。日本シリーズの第5、6戦で先制打、先制ソロで勝利打点を記録するなど26年ぶりの日本一に貢献した。
ただ、定位置を保証されているわけではない。今年は
佐野恵太と左翼の定位置を競い合う形に。佐野が一塁、筒香が左翼で同時起用される形があるが、2度のファーム降格を経て、出場機会を増やすために三塁に挑戦。横浜高では三塁を守り、アメリカでも内野でノックを受ける練習が多かったため、実戦でも無難にこなしている。複数の守備位置で起用できることは首脳陣にとっても心強い。
53試合出場で打率.211、14本塁打、22打点。8月は月間打率.355、8本塁打、12打点と絶好調だが、戦いはまだ道半ばだ。全盛期はまだまだ終わっていない――。錆びついていない実力を、バットで証明する。
写真=BBM