育成出身右腕をアシスト

8月27日のられた試合出場で最善を尽くしている梅野
与えられたチャンスできっちり結果を出す姿は、プロフェッショナルだ。
阪神・
梅野隆太郎は先発マスクをかぶる機会が激減しているが、縁の下の力持ちとしてチームを支えている。
8月27日の
DeNA戦(横浜)で、プロ初先発の育成ドラフト3位右腕・早川太貴が5回を2安打無失点で初勝利を飾った。育成入団投手が一軍で先発、新人で勝利投手となったのはいずれも球団初の快挙だったが、好投を引き出したのがバッテリーを組んだ梅野だった。緊張する早川の気持ちを推し量るように、立ち上がりはストライクゾーンに力強い直球を要求。相手打線が2巡目以降になってからは変化球を散りばめて的を絞らせなかった。打撃でも今季初の猛打賞。2対1で逃げ切り、早川のプロ初勝利を攻守でアシストした。
6試合ぶりの先発マスクをかぶった9月4日の
中日戦(バンテリン)でも、「ブルペンデー」で投手陣を牽引した。来日初先発のニック・ネルソンを3回まで無失点の好リード。3点リードの7回は先頭打者で相手左腕・
橋本侑樹の148キロ直球を中前にはじき返し、4点目のチャンスメークで勝利に貢献した。
かつての正捕手は、
坂本誠志郎の台頭で立場が変わってきている。近年は坂本と併用されてきたが、今年の先発マスクは坂本が92試合に対し、梅野は29試合。エース格の
才木浩人とバッテリーを組んでいたが、後半戦スタートと同時にスタメンから外れた。後半戦初戦となった7月26日のDeNA戦(甲子園)で、才木は4安打完封勝利の快投で8勝目をマーク。女房役の坂本が評価を高めた形になり、その後も才木の登板でバッテリーを組んでいる。
「勝負の怖さ」を知るベテラン
後半戦になり、梅野の出場機会は4試合のみ。だが、「勝負の怖さ」を知っているベテランの経験値は必要だ。12年間のプロ野球人生で、大差で勝っていた試合を逆転されたり、その逆のケースもあった。週刊ベースボールの取材でこう語っている。
「2022年の試合(
ヤクルト戦=京セラドーム)は覚えています。最大7点差で勝っていて、みるみるうちに追いつかれて負けてしまった。シーズン143試合あれば、ああいうゲームはある。逆のパターンもあったりね。自分も1000試合以上出たけど、9回ツーアウトから同点になって負けたこともあるし。けどね、状況とか試合数とか関係なく『開幕戦』にこだわると、やっぱりその試合はいま思い返したら、すごく野球の怖さを感じましたよ。そこから開幕9連敗したというのもあった。なかなかこう、波に乗っていけなくて。いつか勝てるだろう、というのが勝てなかったりとか。足元をすくわれたというか、そういうところはあったかなと思いますね」
岡田監督指揮下では併用策
昨年まで指揮を取っていた
岡田彰布前監督は梅野、坂本をスタメンで併用していた。起用法の意図について、以下のように明かしていた。
「この2人に偏ったのは続く若手との力量差がはっきりしていたから。だから2人をどう起用し、どう生かしていくか。これに注力した。その結果が投手による組み分けやった。梅野は時に相手の裏をかく配球を考える。それに合う先発投手は力の才木(才木浩人)や青柳(
青柳晃洋、現ヤクルト)とした。一方の坂本は安全運転というか、オーソドックスなタイプ。それに合うのはコントロールのいい先発投手やった。制球がよければ、裏をかく必要はない。それに合致したのが村上(
村上頌樹)に大竹(
大竹耕太郎)やった。そら打てる捕手なら、いいに決まっている。でもオレはキャッチャーにバッティングまで多くを求めないでいた。打てるに越したことはないが、そこまで求めることはない。まずは守りよ。ここさえしっかりやってくれれば、ホンマ、十分なわけ。その点においてはこの2年間、2人はよくやってくれた、と思い返すことができる」
ベンチスタートの時も鋭い視線をグラウンドに送る。戦況を見ながら、若手とコミュニケーションを欠かさない。梅野が控えていることは、首脳陣にとって心強いだろう。リーグ優勝は秒読みとなったが、CS、日本シリーズに向けて戦いは続く。出場する時に向け、最善の準備を尽くす。
写真=BBM