7月以降に本塁打量産

強打で中日打線をけん引している細川
中日が9月12日の
広島戦(マツダ広島)で0対9と大敗。借金が今季ワーストタイの13にふくらみ、5位に転落した。CS圏内の3位・
DeNAと5.5ゲーム差。残り14試合であることを考えると逆転でのCS進出は非常に厳しいが、勝ち続けるしかない。キーマンの一人になるのが、主砲の
細川成也だ。
今年は度重なる故障に悩まされた。3月29日のDeNA戦(横浜)で自打球を当てて2試合スタメンを外れ、5月2日の広島戦(マツダ広島)では右手に死球を受けた。5月5日のDeNA戦(バンテリン)で一塁へ全力疾走した際に右太もも裏を負傷し、登録抹消に。一軍復帰まで1カ月半を要した。
6月終了時点では3本塁打にとどまっていたが、7月以降は57試合出場で14本塁打と本来の打撃を取り戻していく。9月7日の
巨人戦(バンテリン)では、1点差を追いかける4回に左腕・
横川凱の外角高めの142キロ直球を右翼に運ぶ17号ソロ。広いバンテリンドームの逆方向に叩き込んだ一撃に球場がどよめいた。昨年までチームメートだった
ライデル・マルティネス(巨人)から打った2発も強烈だ。7月9日の対戦では2点差を追いかける9回二死二、三塁で逆転の6号3ラン。同月31日も2点差を追いかける9回無死二塁で、高めに浮いた直球をバンテリンドームの左中間席に叩き込んだ。同点弾で息を吹き返したチームは延長戦の末にサヨナラ勝ちを飾った。
移籍を機に飛躍
恩師との出会いが野球人生を変えた。DeNA在籍時から長距離砲としての才能は高く評価されてきたが、一軍定着できないまま月日が流れる。現役ドラフトで22年オフに中日に移籍すると、当時の
和田一浩打撃コーチからマンツーマン指導が毎日のように続いた。和田コーチは現役時代に通算2050安打、319本塁打を記録。30代以降に全盛期を迎えた大器晩成の強打者だった。
自身が大切にしている打撃理論について、「う〜ん……それを簡単に説明するのはすごく難しいのですが(苦笑)。ただ、順番に階段を上っていくこと。段飛ばしにはいかないということは間違いないと思います。いきなりトップレベルのバッティングをマネしたからといってできるわけではない。まず自分ができることをちょっとずつ増やしていくことからですね。一番の基本は強くバットを振ること。そこからフォームや考え方などを成長させることで伸びていく。まずは基本をやって、自分に合った打ち方や構え方などがあると思うので、それを身に着けていけばいい。僕は今でもその基本の部分を大事にしています」と語っていた。
高いスラッガーとしての資質
細川の打法は和田コーチにそっくりだ。オープンスタンスで上段に構えたバットを小刻みに揺らしてタイミングを獲り、左足を高々と上げて力強くボールを叩く。他球団のスコアラーは「バットの遠心力をうまく使えるようになり、ガラッと変わりましたよね。和田さんの指導が大きかったと思います。スラッガーとしての資質は
岡本和真(巨人)、
村上宗隆(
ヤクルト)、
佐藤輝明(
阪神)に見劣りしない」と指摘する。
今季は94試合出場で打率.257、17本塁打、50打点。能力を考えれば来季は本塁打王が現実的な目標になる。岡本、村上は今オフにポスティングシステムでメジャー挑戦の可能性があり、来季はバンテリンにホームランテラスが設置されることも本塁打量産の追い風になる。今年は佐藤輝明がリーグダントツトップの36本塁打をマークしているが、対抗馬になれるか。
まだまだ完成された選手ではない。選球眼を高めれば、打撃の精度がさらに上がるだろう。外角に逃げる変化球や落ちる球を見極めてボールにしたり、ファウルでカットにするケースを増やせば、打撃3部門の成績はおのずと上がっていく。今年は残り試合が少なくなったが、3年連続20本塁打を狙える位置につけている。熱い声援を送り続けるファンのためにも、勝利に貢献する一撃を積み重ねたい。
写真=BBM