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FA権行使なら複数球団の争奪戦か 全盛期迎えた「35歳左腕」去就は

 

今年は「定時退社」ではない!?


今年が3年契約の最終年となる松葉


 今オフのFA市場で、権利を行使すれば争奪戦の可能性があるのが、中日の35歳左腕・松葉貴大だ。

 昨年までは「松葉課長」とファンの間で呼ばれていた。5回を終えてマウンドを降りることが多かったことからつけられた愛称で、5回で降板の「定時退社」、6回以降も投げ続ければ「残業」と珍しがられていたが、今年は違う。開幕から先発ローテーションに入って安定した投球を続け、6月終了時点で防御率1.63をマーク。14試合に登板し、6イニング以上投げた試合が12試合で、このうち11試合で2失点以下に抑えている。

 松葉は週刊ベースボールのインタビューで、活躍の要因を以下のように振り返っていた。

「ここ数年、投球スタイルは変わっていません。球速を含め、投げているボール自体も変わっていないですから、やはり毎年一軍で投げさせてもらって、そこで出た反省と課題というのをオフの自主トレから取り組んで、それがこう円熟してきたというか、その積み重ねが結果につながってくれているのかなと」

「あまり球種が偏らないようにはしています。それと目に見えて分かる部分で言えば、プレートの踏む位置。もともと真ん中だったんですけど、今は左足のかかとが三塁側のプレートにぎりぎり掛かるくらいになっています。自分の持っている球種をより生かすために変えたのですが、すごくいい感じだったので継続してやっています」

「カウントです。どれだけ早く自分の有利なカウントに持っていけるか。どの投手もそうだとは思いますけど、自分は球速がない分、その意識がより強いというか。自分の有利なカウントにすれば自分の間合い、自分のペースで投げることができますから」

監督選抜で球宴初出場


 劇的にモデルチェンジしたわけではない。細部を工夫したことにより、プロ13年目で新境地を見せている。カットボール、ツーシーム、スライダー、チェンジアップ、カーブ、スプリットと多彩な変化球を織り交ぜ、直球は135キロ前後と決して速くないが、変化球との球速差がないことで打者は惑わされる。テンポ良くストライクゾーンに投げ込み、アウトを積み重ねた。

オールスター第1戦[京セラドーム]では2回から登板し、2イニングを投げた


 前半戦の活躍が評価され、球宴に監督選抜で初出場を勝ち取った。例年どおりにこの期間は家族旅行の予定を入れていたが、キャンセルすることに。球宴1戦目で古巣のオリックス時代に本拠地だった京セラドームのマウンドに立ち、2回4失点で敗戦投手となったが、夢の舞台を堪能した。

金銭・人的補償のないCランク


 後半戦に入ると、対戦相手も対策を施してくる。前半戦は7勝を挙げたが、白星がつかない登板が続く。9月15日の阪神戦(甲子園)で4回5安打4失点と試合を作れず、7連敗で11敗目。ファームで再調整となった。

 苦境を迎えているが、145回2/3で自身初の規定投球回に到達したことは自信につながるだろう。22年に国内FA権を取得し、同年オフに3年契約を結んだが、今年が最終年となる。推定年俸5000万円で他球団が獲得する場合に金銭・人的補償が必要ないCランクのため、豊富な資金力がない球団も獲得レースに参戦できる。

 23年オフは山崎福也(日本ハム)、昨オフは石川柊太(ロッテ)とCランクの先発投手がFA権を行使し、複数球団の争奪戦となった。昨年はシーズンで8試合登板、3勝1敗、防御率3.72だったチームメートの福谷浩司(日本ハム)も昨オフにFA権を行使。Cランクで推定年俸が2000万円と格安だったことから、日本ハムとヤクルトが獲得に乗り出した。松葉が国内FA権を行使した場合は、貴重な先発要員として興味を持つ球団が多いことが予想される。
ベテランの域に入ったが、心・技・体が整い、脂が乗り切った時期に入っている。

「40歳までは現役を続けたいという目標はありますが、1年1年が勝負ですので、毎試合、後悔がないように普段の過ごし方を含めてやっていきたいなと。終わり(引退)が近づいてきてからのほうが、野球に対してより向き合えているような気がしています」

 シーズンの残り試合が少なくなってきた。マウンドで復調した姿を見せられるか。

写真=BBM
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