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【高校野球】桐光学園の“ピッチャーキャプテン”林晃成「チームリーダーとして良い姿勢を見せてくれた」

 

痛恨のサヨナラ負け


現役時代は捕手だった天野監督[左]はベンチから身を乗り出す形で座って戦況を見守り、そのすぐ横では主将・林[右]がチームメートを鼓舞し続けた[写真=BBM]


【9月27日】
秋季神奈川県大会準々決勝
立花学園高11x-10桐光学園高

 桐光学園高は背番号1を着ける林晃成(2年)が、主将を務めている。約40年にわたり指揮した野呂雅之監督が今夏限りで退任し、天野喜英新監督が就任した。前任者から通じて、ピッチャーキャプテンは例がないという。

 林は立花学園高との準々決勝で先発したが、3回途中4失点で降板している。

「1回裏に2点の先制を許し、3回表に自分が(反撃の口火となる)安打で出塁し、追いついたまでは良かったんですが、その裏に2失点で、チームに迷惑をかけてしまいました」

 中盤以降も失点を重ね、7回を終えて、2対8と劣勢の展開だった。三塁ベンチに下がった主将・林は体のケアもほどほどに、ベンチ端の天野監督の真横を陣取った。

「点差が開いてしまったときは、ベンチも重苦しいムードになり……。ただ、自分もそろって沈むわけにはいかない。1球1球、チームを鼓舞する声を出し続けていました」

 林の熱き思いがつながった8回表、反撃を開始する。桐光学園高は打者11人の猛攻で一挙8得点。1点を追う二死二、三塁では黄泰崇(2年)が起死回生の逆転3ラン。桐光学園高のボルテージは最高潮に達した。だが、野球の「流れ」というのは難しい。この回、6連打で5得点。このホームランにより、一連の猛攻が途切れる形になった。

 このシチュエーションを危惧していたのが林だった。10対8とリードした9回裏に痛恨のサヨナラ負け(10対11)。あと一死のところで、つかみかけていた白星を逃したのである。

「キャプテンは人一倍、頑張らないといけない」


 天野監督は終盤以降、守りのイニングでは、ベンチ最前列で身を乗り出し、しゃがんでいた。新指揮官は2001年春、同校が春夏を通じて甲子園初出場の際の主将・捕手。自身がマスクをかぶっているイメージで試合を見守る。

「キャッチャー目線で試合、投手の球筋を見たくなるんです。ベンチとグラウンドは違いますが(苦笑)。自分がサインを出し、リードしているという想定で選手たちに指示を送ったほうが、伝わりやすいと思ったんです」

 天野監督のすぐ隣では、青いメガホンを手にした主将・林が。全力で声を出し続けていた。天野監督はゲーム中の様子を明かす。

「(準々決勝の)3回途中で降板した時点で『勝って(準決勝で)行くぞ! 次があるぞ!』と、林には指示していました。それにしても、試合の最後まで貫いた林の言動には、高校生として『すごい』と、驚くばかりでした。言葉で表現できるキャプテン。チームリーダーとして、良い姿勢を見せてくれました」

 指揮官が一連の所作、あきらめない姿を絶賛した一方で、林は反省と展望を口にした。

「キャプテンは人一倍、頑張らないといけないんです。天野監督からは『秋の1敗は、夏の1敗と同じだぞ』と言われてきました。この冬は、必死に練習し、来年夏の甲子園には絶対、行きます。この秋は主将をやらせていただき、すべてがプラスでした。投手として、個人的には球威を上げていきたいです」

 勝負のアヤとは、公式戦で経験しないことには学ぶことができない。粘りを見せたが、詰めの甘さも味わった桐光学園高。準々決勝では先発5人が1年生という若いチームだった。最高の教材を手にして、強化の冬支度に入る。

文=岡本朋祐
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