夏に得た課題を克服

法政二高は33年ぶりの関東大会進出。立花学園高との県大会準決勝で勝利し、応援スタンドに向かって喜びを爆発させた[写真=田中慎一郎]
【10月4日】
秋季神奈川県大会準決勝
法政二高3-2立花学園高
法政二高が県大会準決勝で勝利し、33年ぶりとなる秋の関東大会出場を決めた。次なるステージは、来春のセンバツ選出へ、さらに重要な資料となる大会である。
同校はエース・
柴田勲(元
巨人)を擁した1960年夏、61年春の甲子園優勝を誇り、春2回、夏9回の甲子園出場実績がある。昭和の高校野球をけん引してきた伝統校だが、春は84年、夏は88年を最後に全国舞台から遠ざかる。
なぜ「古豪復活」の兆しを見せたのか。3つの武器がある。
まずは今夏の敗戦。11年ぶりの神奈川大会16強(5回戦)進出。肥後幸太コーチは明かす。
「ノーシードから4試合を勝ち上がり、5回戦では、東海大相模さんと対戦しました。敗れました(2対9、8回
コールド)が、何が足りないのか、その差を確認することができたのは、3年生が残してくれた財産です」
夏に得た課題を、徹底力で克服してきた。
「試合を想定した練習の精度です。相模さんの一球にかける思いは、勉強になりました」(肥後コーチ)
限られた時間、環境で練習
法政二高はかつての男子校から、2016年4月に男女共学化が始まり、難易度が上がったと言われている。学科試験(一般入試)のほか、書類選考もある。書類選考の選抜方法は「(1)内申点の9教科合計が一定水準以上のもの(2)基準にわずかながら及ばなくても、中学校の活動において、優れた特徴を有する者(3)(1)(2)を満たし、小論文において一定の評価を有した者」とある。「スポーツ実績」を前面にしたものでなく、あくまでも「文武両道」が求められる。
「来週には中間試験が控えています。しっかり授業を受けた上での部活動です。『知は力なり』と言われますが、勉学に励まなければ、社会に通用する人間にはなりません」(肥後コーチ)
月曜日が練習オフ。平日は6限まであり、練習開始は15時40分以降。火曜日は7限まであり、16時30分スタート。土曜日も4限まである。公式戦が組まれた場合は公欠扱い。硬式野球部の措置で、吹奏楽部、チアリーディング部らの応援部隊には認められない。
学校の決まりで、19時の完全下校に合わせて活動を終えなければならない。実質、平日は3時間ほどしか、体を動かすことができない。川崎市内の学校敷地内にあるグラウンドの「大野球場」は法政大学野球部が優先的に使用するため、法政二高は「小野球場」がメーン。「大野球場」の一塁側と「小野球場」がフェンスを挟んで隣接。「小野球場」のセンター部分は70メートルほどしかない三角形の形状で、実戦練習は不可能。大学野球部の火曜日オフや、東京六大学リーグ戦が組まれる土曜日に「大野球場」を借りるなどしている。
限られた時間、環境で求められるのが集中力。
「絹田史郎監督と平松迅主将(2年)がコミュニケーションを取り、選手間の連携も密に取れています。チーム全体が同じ方向に向かっているから、試合では厳しい場面であっても、粘りで乗り越えることができる」
確立されたスタイル
立花学園高との準決勝は3回裏、2失策で守りがバタついたが、最少失点に抑えることができたのも、日ごろからの成果が出た。主将・平松が導く抜群のキャプテンシーに、2回戦から全5試合完投のエース・松田早太(3年)、四番・榑松正悟(3年)の勝負強い打撃。チームが進むべきスタイルが確立されており、結束力はどこにも負けない自負がある。
「守りを固めて、勝機を待つのが法政二高の野球です。攻撃面は確実にバントで送り『出る、つなぐ、かえす』を合言葉にしています」(肥後コーチ)
決勝は10月5日に予定されていたが、準決勝第2試合(横浜高-東海大相模高)が継続試合となったため、7日に行われる。法政二高は中2日。ここまで一人で投げ抜いてきたエース・松田としては「恵みの雨」となった。
どこが相手であっても、やることは変わらない。個々の能力では劣るかもしれないが、法政二高は「徹底力」「集中力」「結束力」という3つの武器で、立ち向かっていく。
文=岡本朋祐