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【首都大学リポート】野球人生で最大の壁にぶつかる城西大・松川玲央 乗り越えた先に待つ輝かしい未来

 

今春に右ヒジの靭帯を損傷


プロ志望届を提出した城西大の主将・松川は現状でできる精いっぱいのプレーで、チームのために動いている[写真=大平明]


【10月4日】首都大学一部リーグ戦
帝京大9-2城西大(帝京大1勝)

 首都大学リーグ第5週1日目。城西大のドラフト候補・松川玲央(4年・関西高)が帝京大1回戦に臨んだ。松川は今春に右ヒジの靱帯を損傷し、リーグ途中で離脱。「急に痛みが出てしまって。腕がちぎれてもやりたいと思っていたのですが、仲間に任せることになりました」。手術などは行わずに治していく選択をしたが、完治まで長引いている状況だ。

「バッティングは6月くらいから軽く置きティーをして、守備は7月の終わりから捕球だけやっていました」

 秋季リーグは開幕から一番・指名打者で出場。だが、準備不足は否めず、さらに「守備に就かないDHの難しさを感じています」と話す。それでも第2週の筑波大1回戦では2安打を放った。「2カ月以上、まともにバットを振ることができない時期が続き、実戦感覚を取り戻していくなかでフォームのズレを感じました。それでシンプルにスイングするためにバットを担ぐように構えることにしています」。

 しかし、以降は松川のバットから快音は聞こえず。「ヒジの影響があるんじゃないかと周囲から言われますが、試合に出ている以上はやるべきことをやらないと言い訳になってしまいますから。影響があるなんて言えませんし、実際に打っていて痛みや違和感はありません」。

 守備ではここに来て、ようやく7割ほどの力で投げられるようになり、シートノックの輪にも入ることができている。

「順調とは言えませんが、少しずつ練習の強度を上げています。ただ、試合で守備につくのにはまだ時間がかかると思います」

 そんな厳しい状況のなかで、チームのためにできることはスピードを生かした走塁だ。松川といえば、2年冬に参加した侍ジャパン大学代表合宿の50メートル走で参加者トップの5秒88を記録。開幕戦では東海大の米田天翼(3年・市和歌山高)から盗塁を決めた。

「けん制球がうまい投手ですし、春はウェストされて刺されているので怖気づくところもありました。しかも、ビックリするくらい長くボールを持たれたのですが良いスタートが切れました」

チャンスメーカーとしての役割


 この日の帝京大1回戦は序盤からリードを奪われる展開となったが、3回裏の第2打席ではセーフティバントを敢行。三塁線に転がったボールは最後の一転がりで惜しくもファウルになったが「なんとかしたい」という気持ちを見せた。4点を追う6回裏の第3打席はイニングの先頭打者として打席に立つとフォアボールを選んで出塁。すると、次打者の2球目に「塁に出たら走ろうと思っていました」とすかさず二塁へ盗塁に成功し、チャンスメーカーとしての役割を果たした。

 しかし、この好機をモノにすることができず、松川もノーヒットに終わり2対9で黒星を喫した。今季の城西大はいまだに勝ち点ゼロと苦しいシーズンとなっているが、主将を務めている松川は試合後「落ち込むのは早い。まだ終わりじゃないんだから切り替えていこう」と声を掛け、明日以降の巻き返しに向けてチームをまとめている。

 城西大・村上文敏監督は「松川のヒジは少しずつ良くなってはいますがまだまだ。これまでは高い能力でこなしてきましたが、ヒジもチームの状態も良くないなかで何ができるのか。ここでどんなプレーができるのかをスカウトの方も見られていると思います」と話している。

 一方、「野球人生でこんなに打てないのは初めて」と話す松川。例年より運動量が少なく、スイングの数も少ないこともあって「体のキレがないと感じています。これからはボックスジャンプなどの瞬発系のトレーニングをやっていきたい」と課題を挙げている。

 今季が学生最後のシーズンとなるが「結果で応援してくださっている方に恩返しがしたい。そして、後輩たちのためにも一部に残留したい。それが自分の役目だと思っています」と語った。今月の23日にはドラフト会議が行われるが「ドラフトで指名されるチャンスは何度もないと思いますし、今年が最後かもしれない。結果はどうなるか分かりませんがワクワクしていますし、やれることはやっていきたいです」と松川。野球人生で最も大きなカベにぶつかっているが、この困難を乗り越えた先には、きっと輝かしい未来が待っている。

文=大平明
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