最後のイニングを託されたエース

継続試合となった11対6の9回裏から再登板。無失点に抑え、ガッツポーズを見せた[写真=田中慎一郎]
【10月5日】
秋季神奈川県大会準決勝
横浜高11-6東海大相模高
やはり、最後は横浜高のエースが締めた。
継続試合となった東海大相模高との準決勝。5対6と1点を追う東海大相模高の攻撃で7回裏無死一塁、1ボールから再開された。横浜高はこの回に追いつかれるも、8回表に一挙5得点で突き放した。横浜高は9回裏、152キロ右腕・織田翔希(2年)が再登板。二死走者なしから遊ゴロ失策、死球で一、二塁とするも、慌てることなく、後続を中飛に抑えて決勝進出。関東大会出場を決めた。
前日に先発した織田は6回途中で降板も、ベンチには下がらず、右翼の守備に就いていた。右腕・林田滉生(2年)を挟み、三番手の左腕・小林鉄三郎(1年)が7回裏無死一塁、1ボール、雨天中断するまでのマウンドを守った。
36分待ったが、継続試合に。バスで寮に戻ると、織田は村田浩明監督に継続試合での再登板を直訴した。つまり、アタマから投げることを志願したのだ。しかし、村田監督は首を縦に振らなかった。無死一塁という戦略上、けん制のうまい左腕・小林を続投させたほうがベストと考えた。盗塁、エンドラン、セーフティーバント、犠打と機動力を得意とする東海大相模高の攻撃の幅を絞らせようとした。
「ピンチになれば、織田を行かせる準備はしていました。織田は夏からずっと投げていて疲れている。とはいえ、背番号1を背負っているので、さらなる成長を期待している」
最後のイニングは、エースに託したのである。
「監督の判断がすべてであり、自分は与えられた場面で全力を尽くすことしか考えていませんでした。この秋は、自分の思い通りの投球ができていない。主将の小野(舜友、2年)を中心として、打線が奮起してくれている。失点をしていますが、それを上回る得点で援護してくれているので、感謝しかありません。自分はエースとして、結果が求められる立場にいる。背番号1としての姿。チームを勝たせ、信頼を取り戻したかったんです。前日の試合から小林が素晴らしいピッチングで最少失点に抑え、バトンをつないでくれたので、9回のラストは気持ちで投げました」
チームの目標は「圧倒野球」

継旧チームのエース左腕・奥村頼人から今秋、背番号1を引き継いだ[写真=田中慎一郎]
10月7日には法政二高との決勝が控えているが、県上位2校が駒を進める関東大会への出場を決めた。横浜高は今春のセンバツで19年ぶりに優勝した。
「東海大相模さんは因縁の相手。素晴らしいチームで、攻守にスキがないチームに対して、自分たちは上回ることができました。関東大会でも、相模さんから学んだことをつなげられると思います。関東大会も勝ち上がって、チーム全員で紫紺の大優勝旗を返還したいと思います。主将・小野だけに頼らないチームづくりを目指して、野球としては、全員で守ることを意識づけていきたいです」
2025年秋、横浜高にチーム目標がある。織田は明かした。「圧倒野球」。さらに付け加えた。
「いまを、大切に。いまを、100パーセント生きる」
今夏の甲子園で2完封勝利をマークするなど、今年の春夏で計6勝を挙げている。2026年のドラフト戦線の「顔」となりそうな逸材は、心身ともに充実の秋を過ごしている。
文=岡本朋祐