全国レベルを肌で感じて

法政二高は秋季県大会準優勝。神奈川2位で関東大会に乗り込む[写真=田中慎一郎]
【10月7日】
秋季神奈川県大会決勝
横浜高12-0法政二高
この秋、法政二高は快進撃を見せた。川崎晶子責任教師が準決勝でこう言っていた。
「一つひとつ勝つたびに、景色が変わっていくのが分かります。学校の応援も過熱している。生徒たちは良い経験をしていると思います」
激戦区・神奈川で、上位2校が出場する33年ぶりの関東大会出場を決めた。横浜高との決勝は0対12で敗退したが、頂点をかけた一戦でしか見えない光景がある。ましてや、横浜高はこれで県公式戦27連勝。今夏の神奈川大会に続いて、全国レベルを肌で感じられたことは、この上ない機会だった。
多くの反省点をあぶり出し、勝負の関東大会までに、課題を一つひとつ克服していく。法政二高は学習能力のある集団だ。それは、なぜか。主将・平松迅右翼手(2年)が抜群のリーダーシップを発揮しているからだ。
とにかく明るい。どんなときも前を向き、チームを鼓舞。不動の二番。小技がうまく、追い込まれてからは、ファウルで粘る。相手バッテリーとしては、最も対戦しにくい打者である。小柄を感じさせない、特別な存在感。視野が広く、野球を良く知っているである。
平松の献身的な動きを見て、2022年秋を思い出した。慶應義塾高の主将を務めた大村昊澄(慶大2年)。仕草、行動、そして、笑顔でハキハキとした取材対応がそっくりなのである。慶應義塾高は「KEIO日本一」を連呼し、翌年夏に107年ぶり2度目の全国制覇を遂げた。
そのことを伝えると、平松はニッコリ笑った。
「光栄です。尊敬していますので」
平松も有言実行の男である。新チーム結成時に「秋のチーム目標は、この神奈川県大会で決勝に進み、関東大会に出場して、来春のセンバツに出ることです」と掲げた。今夏の神奈川大会は11年ぶりの16強進出。5回戦では東海大相模高に8回
コールド敗退(2対9)を喫したが、3年生が残した「財産」を胸に新チームを始動させた。グラウンドのホワイトボードには「打倒・東海大相模」と書き込み、甲子園常連校とは何が足りないのか、問題点を解消する作業を繰り返した。
時代に合わせた部運営

準優勝の表彰を受ける主将・平松[左]とエース・松田[右]。次なる戦いは10月18日に開幕する関東大会だ[写真=田中慎一郎]
応援スタンドの横断幕には、チームのテーマである「革新」が記されている。法政二高はエース・
柴田勲(元
巨人)を擁した1960年夏、61年春の甲子園で連覇を遂げ、昭和の高校野球をけん引してきたレジェンド校。だが、春は84年、夏は88年を最後に甲子園から遠ざかる。「古豪」と呼ばれて久しいが、歴史と伝統に縛られることなく、主将・平松は「自分たちの代で新しいチームをつくり上げていくことを意識しています」と、時代に合わせた部運営を進め、この秋に一つの形を残した。
背番号1を着ける右腕・松田早太(2年)も快進撃の立役者の一人である。2回戦から準決勝まで5試合を一人で投げ抜き、一際、気持ちが強い。相手に向かっていくことの大切さを再認識させる投球で、心身が充実している。精神的支柱の主将と、気力と根性で抑えるエース。さらには勝負強い四番・榑松正悟二塁手(2年)が攻守でけん引。それぞれの立場で、最上級生が法政二高の根幹を支える。
10月18日、関東大会が開幕する。来春のセンバツ出場を「当確」とさせるためには、2勝(4強進出)が必要である。法政二高は秋のもう一つのチーム目標達成のため、できることを地道にこなしていくだけだ。困った際は代々受け継がれ、いつの時代にも共通する「グラウンド三原則」を思い出せばいい。
・中継
・気合
・ダッシュ
さらには「部則」に立ち返れば、心が落ち着くはずだ。
・時間厳守
・チームワーク
・コンディションの調整
・希望を持て
・必勝の信念
・自覚して行動
・人格の養成
・努力と反省
・整理整頓
・礼儀厳正
文=岡本朋祐