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【高校野球】1回戦で早実を撃破した岩倉 チームをけん引する志が高いキャプテン

 

「勝ちたい気持ちが強い選手」


130キロ中盤のストレートは、数字以上の体感速度。左足を大きく上げる本格派かと思いきや、実際にはスリークォーターからほうる[写真=BBM]


【10月12日】
秋季東京都大会1回戦
岩倉高4x-3早実

 2025年7月28日。岩倉高は関東第一高との東東京大会決勝で敗退した(1対7)。28年ぶりの夏の甲子園出場を、あと一歩で逃した。

 同校OBの豊田浩之監督はこの日、新チームの主将に佐藤海翔(2年)を指名した。鉄は熱いうちに打て。指揮官はその意図を明かす。

「勝ちたい気持ちが強い選手ですし、表現できる選手。どこのチームもキャプテン気質の選手がなかなかいないと聞きますが、ウチのメンバーの中では佐藤かな、と思いました」

 2年生・佐藤が今夏の準優勝の原動力の一人だった。帝京高との準々決勝、修徳高との準決勝、いずれも試合中盤からのロングリリーフでチームに勝利をもたらした。役割は新チームになっても変わらない。ブルペンで待機し、いつでもリリーフの準備を進めている。

 早実との1回戦は1点差(2対3)とされた4回表二死三塁で救援。最初の打者を一邪飛でピンチを脱すると、8回までテンポの良い投球を続けた。ワインドアップに見せかけ、ノーワインドアップから、左足をドジャース・佐々木朗希のように大きく上げる。身長177センチ(体重77キロ)。真上から投げおろすのかと思えば、スリークォーター気味の腕の位置から、キレのあるストレートを投げ込む。ときに、クイックモーションで打者を幻惑させる術も持ち合わせている。好きな投手を聞けば「自分です」。投球フォームを参考にしている投手はいない。自らで研究し、最良の形を編み出したのだという。

「夏のままでは相手校さんも研究してくる。間(ま)を意識しています。秋に向けて進化しなければ、勝ち上がることはできない」

 3対2のまま逃げ切るかと思われたが、そこは伝統校・早実である。9回表に追いつかれたが、慌てることはなかった。3対3のまま決着はつかず延長へ。無死一、二塁の継続打順である10回表、早実の四番・田中孝太郎(2年)がバスターを仕掛けたが、三ゴロ併殺に仕留めた。次打者を二飛で無得点に抑え、その裏、岩倉高はサヨナラ勝ちを収めた。

「これからもギリギリの戦いが続くと思いますが、そのギリギリを競り勝つ練習をしてきています。1プレー1プレーを丁寧に。夏もピンチの場面を何度も経験し、逆にモチベーションが高まる。だいぶ、公式戦慣れしたのもあります。この秋は一番上の立場。背中を見せていかないといけない。ふだんの学校生活から、誰が見ても一番はキャプテンだという意識を持ち続けていきたいと思います」

メジャーへのあこがれ


昨年夏、今春の甲子園に出場した伝統校・早実に延長10回タイブレークでサヨナラ勝ち。主将・佐藤[左端]は充実の表情を見せた[写真=BBM]


 志が高い。高校卒業後の進路は「高卒プロ」を志望する。メッツの守護神であるエドウィン・ディアスにあこがれを抱いており「最終的にはメジャー・リーグでプレーしたいです」と目を輝かせる。

 岩倉高のセンバツ出場は、エース・山口重幸(元阪神ほか、現岩倉高コーチ)を擁して初出場初優勝を遂げた1984年春が最後である。この夏の東東京大会準優勝で強豪復活の兆しを見せ、秋の新チームは主将・佐藤のほか、正捕手・河村柊希(2年)、遊撃手・西尾友希(2年)らが残り、上位進出が期待されている。豊田監督は「そういうふうに持っていきたい。まだまだですが……」と慎重に語る。主将・佐藤も「秋の東京で優勝し、センバツを目指していますが、先を見ると、足元をすくわれる。一戦必勝です」と気を引き締めた。

 視力が0.1以下で、眼鏡をかけて力投する姿も印象的だ。「コンタクトが合わなくて……」。マウンドでは吠え続け、気持ちが充実している主将・佐藤が存在感を発揮する岩倉高。2回戦は18日に控え、頂点まであと5試合。主将・佐藤が文字通り、チームをけん引する。

文=岡本朋祐
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