8戦全勝で頂点

5季ぶりのリーグ制覇。試合後は応援席に控える部員のほか、応援団、学校関係者、ファンと喜びを分かち合った[写真=井田新輔]
【10月18日】
東京六大学リーグ戦第6週
明大1-0早大(明大2勝)
明大が5季ぶり44度目のリーグ優勝を決めた。開幕から4カード連続で勝ち点を挙げ、8戦全勝で東京六大学の頂点をつかんだ。
なぜ、天皇杯を奪還することができたのか。2つの理由がある。中学、高校、大学を通じて主将を務めた木本圭一(4年・桐蔭学園高)が明かす。
まずは、ライバルの存在である。明大は昨秋、今春と早大との優勝決定戦で敗退していた。
「自分たちの代が始まってから、グラウンドのホワイトボードには『打倒・早稲田』を掲げてやってきました。早稲田に勝つ、という思いだけでやってきた春。(優勝を遂げたこの秋とは)何が違うんだろう? と考えたんですが(秋のリーグ戦を控えた)夏のオープン戦は、相手を早稲田だと思って毎試合、戦ってきました。その思いは間違いなく(春のリーグ戦を控えた)春よりもあった。自分の口からも『早稲田に勝つ』と伝えてきたので」
昨秋、今春の優勝決定戦で先発し、ともに敗戦投手となった毛利海大(4年・福岡大大濠高)は試合後に歓喜の涙。1回戦で勝利投手。2回戦での登板はなかったが、3勝、防御率1.38とV奪還の原動力の一人となった。
「昨秋、春とずっと悔し涙。やっと、うれし涙を流せた。昨秋は先輩に頼りっぱなし。この春は自分のせいで負けた。『打倒・早稲田』でやってきて、早明戦で優勝できたのは最高です。(この春に就任した)戸塚(俊美)監督に初優勝をもたらせてよかったです」
もう一つの勝因は、「人間力野球」である。かつて明大を計37年率いた島岡吉郎元監督から継承される伝統スタイルは、不変である。木本は言う。
「私生活が乱れると、野球に影響が出る。まずは足元から固める。より良い生活が、野球につながる。毎朝、掃除から1日が始まるんですが、手の届かないところをキレイにしていく。角にゴミが溜まりやすいですから、そこを重点的にやってきました。僅差のゲームでしたが、人間力野球でやってきたことが最後、自分たちに味方してくれた」
歴代キャプテンは1階のトイレを担当するのが、明大のシキタリ。毎朝、便器とにらめっこしながら、心を清めた。チーム全体に合宿生活の重要性を説き、結実させたのだった。

主将・木本はリーグ優勝を決めた早大2回戦、唯一の得点となる適時二塁打を放った[写真=井田新輔]
秋のリーグ戦はまだ、終わっていない。25日からは第7週、最終カードの立大戦が控える。1910年創部の明大が10戦全勝優勝したのは、96年秋のみ。「負けていい試合はない。あと2つ取って、10勝して、全勝優勝したい」。木本は決意を新たにした。この日の胴上げはなし。第8週の早慶戦までが対抗戦(リーグ戦)であり、シーズン途中の胴上げはない。すべては全日程を終えた閉会式後。それが、東京六大学野球のシキタリである。
文=岡本朋祐